「家族を守る父(ヒーロー)」映画 マイホームヒーロー 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
家族を守る父(ヒーロー)
原作コミックもTVドラマも未見。
話もほとんど知らず。劇場予告編で知ったくらい。
おまけに劇場版で完結。
見てない自分が悪いのだが、こりゃ先日見た『君と世界が終わる日に』の二の舞…。
と思いきや、設定を押さえれば全くついていけない事はなかった。
『君と世界が終わる日に』と何が違う…? 話や設定の分かり易さ…? そもそもの作りや見せ方の違い…?
家族を愛する真面目なサラリーマン・鳥栖哲雄。
ある時、一人娘の零花が恋人から暴行を。その恋人・延人は半グレメンバー。零花の命すら危険になり、哲雄は延人を殺してしまう…!
娘を守る為とは言え、父が娘の恋人を殺してしまったという衝撃の設定。零花は何も知らず。知っているのは妻・歌仙のみで、隠蔽に協力。
ところが、延人と同じ半グレメンバーの恭一に尻尾を掴まれる。半グレを束ねる組織・間野会を共に潰そうとするフリをして、延人殺害の罪を恭一に着せる。恭一は行方をくらます…。
これで終わったかに思えたが、間野会の幹部で延人の父・義辰に狙われる。義辰は哲雄に罪を着せる為自殺するが、哲雄は義辰の遺体を山中に埋め…。
以上がTVドラマの流れらしい。ドミノ倒し的な危機とサスペンス。
新たな危機の幕が開く…。
あれから7年。哲雄の罪の意識は消える事無く…。
土砂崩れが起き、山中から白骨遺体が。
すぐに義辰と分かり、警察の捜査が。
さらに間野会は、義辰が稼いだ10億円の大金を探していた。会長・志野は殺し屋を手配し、血眼になって探し、哲雄に行き着く。
家族に魔の手が。哲雄は一人で戦うが、零花もまた。捜一の刑事となり、事件を追っていた。
その過程で恭一の居所を突き止め、延人殺しの犯人が父である事も…。
元の設定に加え新たな展開で相関図などこんがらがりそうだが、整理すれば分からない事はない。
ツッコミ所やご都合主義はあるにせよ、本作単品で見ても充分なスリリングなドミノ倒しサスペンス。
主人公に襲い来る危機また危機。窮地また窮地。
哲雄は平凡なサラリーマン。ミステリー好きの知識を活かして立ち向かう。
お守りや暴発銃などの伏線。
佐々木蔵之介が熱演。もっとダーティな役かと思いきや、図らずも罪を犯してしまった善人でファミリーマンの苦悩を人柄を含め滲み出している。
哲雄は家族を守れるか…?
志野や間野会は別として、各々にも守りたいものがある。
恭一。哲雄に罪を着せられ、恨み憎しみは勿論。彼とて間野会ある限り安息出来ない。母親思いで、亡き父の店を立て直す目的が…。
零花。刑事となり、犯罪と罪を犯す者は許さない。父の関与と罪を知り、苦悩。刑事の務めを真っ当出来るか、父を逮捕出来るか…?
刑事役に齋藤飛鳥は線が細すぎる気もするが、可愛いからいいや。
組織のボス役に声優の津田健次郎。怪演するが、ちとオーバーリアクションが気になっちゃって…。
結末。
これで良かったのだ。
零花は“犯罪者”を逮捕し、哲雄は罪を認める。
いつか赦される日が来るだろうか、と哲雄は自問していた。
赦す者もいた。いや、罪だなんて思っていない。
やり方は間違っていたかもしれない。
が、罪を償い、家族を守った父(ヒーロー)だった。