劇場公開日 2024年5月31日

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「天才が残した音楽は永遠に生きる」トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代 アベちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0天才が残した音楽は永遠に生きる

2024年7月10日
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鑑賞方法:映画館

「帰ってきてヨッパライ」が街中に流れていた頃は小学生だった。酔っ払い運転で天国に行った男の話など今の時代では放送禁止確実なので誰も考えないが、歌謡曲しかなかった昭和40年代、途轍ない衝撃だったことを覚えている。その後のフォークル時代の名曲、あまりにもいい出来なのでベッツィ&クリスへの楽曲提供をやめ盟友北山修とのデュオで歌った「あの素晴らしい愛をもう一度」、ソロを経て、サデスティック・ミカ・バンドの結成とロンドン進出、現地で音楽作りをする拘りで完成したヨーロッパ3部作。天才は常に新しい何かを求め、画期的な音楽を提供してくれた。また天才に見い出された高橋幸宏、高中正義、小原礼、松任谷正隆、坂本龍一らは皆、一流のミュージシャンとして長く活躍した。さらに吉田拓郎の「結婚しようよ」のアレンジや泉谷しげるのプロデュース。竹内まりやのデビューにも関わる等、日本の音楽シーンのありとあらゆるアーティストに多大な影響を与えた。
私生活では3度の結婚と3度の別れを経験してるが、とりわけ安井かずみとは音楽のパートナーでもあり、贅沢の限りを2人で過ごしたのち死別したとのことなのでその逸話にもふれてみたくなりました。
映画では北山修、松山猛、朝妻一郎、高中正義、新田和長らが長いインタビューを受け加藤和彦を語っていたが、皆、天才を天才として認め、愛に満ち溢れていた。また最後を自死を選んだことすら肯定していたように思いました。

「トノバン 音楽家加藤和彦とその時代」を観ていた2時間。とても幸せでした。
音楽ドキュメンタリー映画の大傑作だと思います。ありがとうございました。

アベちゃん