「日本ポップス史に不可欠なミュージシャン」トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代 nomさんの映画レビュー(感想・評価)
日本ポップス史に不可欠なミュージシャン
私は加藤和彦の音楽をリアルタイムで聴いた世代ではない。むしろ父親がフォークルど真ん中。なので彼の存命中はその音楽に触れることはあまりなかった。また、彼が先鋭的すぎるが故にそのミュージシャン像の全体的な把握がよくできていなかった。
ただそんな私も彼が亡くなったときの衝撃は強く印象に残っているし、サブスクを利用するようになってから過去の作品に触れる機会も増えて、自分の中でも大きな存在のミュージシャンになっていきつつある今、この映画でようやく巨人の全体像を確認することができたという印象だ。
彼がデビューしてはや半世紀が過ぎたが、次の半世紀も間違いなく聴き継がれていくことだろう。楽曲のクオリティの高さはもちろんのこと、込められたアイディアは些かも色褪せない。
音楽に限らず、時の流れに流されず残ってきたアートは紛れもなく本物である。加藤和彦のことをよく知らない私のようなリスナーにこそ観て欲しい、とても丁寧なドキュメンタリーだ。
余談だが、この映画の作成を提案した高橋幸宏の誕生日に観たのは感慨深いものがあった。天国にこの映画が届いていることを願ってやまない。
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