劇場公開日 2023年12月1日

  • 予告編を見る

「地球人を超えた多様性」隣人X 疑惑の彼女 bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0地球人を超えた多様性

2024年3月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

原作は未読。『小説現代長編新人賞』を受賞した作品の映画化。

ある惑星内での紛争によって地球に移民してきた宇宙生命体『X』。地珠人に紛れた『X』を捜し出す攻防を描いたSF映画だと思って鑑賞。ところが、展開は全く違った方向へ…。多様性の在り方への警鐘とも言えるテーマが、根底に流れた社会派ドラマとして描かれている。

宇宙生命体『X』と疑いのある女性・柏木良子と、それを取材しようとして近づいた週刊誌の覆面記者の笹憲太郎とが、次第に恋に落ちていくラブ・ロマンスを中心に描かれていく。また一方でも、同じく『X』と疑われる台湾出身の留学生の女性とバンド活動をする男とのラブ・ストーリーも並行した展開するため、番宣からSF要素の強いミステリーを期待していたので、正直、肩透かしを喰らったのは否めなかった。

しかしながら、その中で、取材目的の為に自分の正体を隠して柏木に近づいた笹の罪悪感に対する葛藤も描き、人種や文化などの多様性に対する差別とか、認知とか言った現代の社会問題を、地球人と宇宙生命体『X』とに置き換えて描くことで、単なるSFミステリーではなく、ヒューマン・タッチなメッセージ性の強いテーマの作品として仕上がっている。

上野樹里が、ミステリアスな雰囲気を醸し出して、『X』と疑われる謎の女性・柏木良子を演じ、W主演のもう一人、仕事と柏木との恋の狭間で揺れ動く冴えない週刊誌記者・笹役を林遣都が演じている。2人の揺れ動く関係性が、切なさを誘う。また、最初は全く分からなかったのだが、いつもは禿げ頭がトレードマークの酒向芳が、髪の毛ふさふさで柏木の父親役を演じていたので驚いた(笑)

bunmei21
bunmei21さんのコメント
2024年3月23日

R41さん(^^)そうですね。宇宙人との関係を人情に迫るヒューマンタッチな作風にするのが、日本映画ですね。

bunmei21
R41さんのコメント
2024年3月23日

よくこの発想ができたなと感嘆します。
護身歓喜と犯人捜し。どの国でも起きそうなことですね。
でも最後のシーンで彼女がしたのは「許し」でした。
これがこの作品のテーマですね。
最高です。

R41
bunmei21さんのコメント
2024年3月4日

トミーさん(^^)確かにそうですね。この作品をハリウッドなら、未知のクリーチャーが,蠢くようなシーンも出てくるでしょうね。

bunmei21
トミーさんのコメント
2024年3月3日

共感ありがとうございます。
あのエンディングに持っていく為には、誰がX?を訳分からなくするしかなかったですかね。昔の「ブルークリスマス」という作品の悲劇エンドから変わったもんですね~

トミー