「意味ある一本」隣人X 疑惑の彼女 ぱんちょさんの映画レビュー(感想・評価)
意味ある一本
「X」というのをあらゆる被差別的な要因のメタファーとして描くことで、特に日本における差別の在りようを寓話的に描き出しているのは相当に意図的だと思われる。
「X」はたとえば被差別部落出身や在日朝鮮人あるいは直近でのコロナ感染者などの日本における、特に対象が特定しづらい被差別的な要因のどれとも容易に置き換え可能であり、だからこそ差別的なマスコミの騒ぎも容易に想像が付くところ。
ただ本作は林遣都演じる主人公がある意味暴走してしまうことから、逆にそうした個人的な要因がなくても日本人は容易に差別的になれるのだ、という点に目を瞑ってしまうことに加担していないか、という点が疑問。暴走しなくても僕らは容易に差別主義者たり得るのだ、という視点が重要だと思うのだけど…
むしろ台湾人蓮さんのエピソードの方がより日常に潜む差別意識をより克明に描いている印象。
しかしまぁこうしたことに意識的になることが重要と考えれば、意味ある一本と思われる。
コメントする