「異教」エクソシスト 信じる者 なつさんの映画レビュー(感想・評価)
異教
「ヴァチカンのエクソシスト」を視聴したらオススメに出てきたので視聴。
良い事があれば神様のおかげ
悪いことがあれば悪魔のせい、もしくは神の裁き
そんな事を考える人々は大勢いる。
悪魔祓いってのは海外(特にアメリカ)の文化?っぽいので日本人で無宗教の私には観ていても怖いか怖くないかの違いであまりピンとこない
そもそも日本は八百万の神がいて、山も海も池も樹木にも神がいて神様だらけの国なので。
今作はその悪魔祓いをさまざまな立場、さまざまな宗教観念を持つ人々が文字通り「信じる」という事で一つになる様が描かれたユニークな作品だと思う。
十字架やラテン語、謎の陣やお守りはグリグリ。
妻を亡くし忘れ形見の娘を溺愛する父、ヴィクター。
娘のアンジェラは母親の声が聞きたいがために親友のキャサリンと降霊術を行う。
それによって彼女達は恐ろしいものをその身に連れてきてしまう。
悪魔祓いの最中、ヴィクターは旅行先での地震で瓦礫の下敷きになった妻と子供のどちらを助けるかの選択を迫られた。
そんな経験から神を信じなくなる。
一見子供を選択した仲の良い親子だが、実は妻を選んでいたことが悪魔の口から語られる。
悪魔は嘘つきなのでそれが定かではわからないが動揺するヴィクター。
何故少女2人が選ばれたのか?
それはきっと「選択」
ヴィクターが過去に迫られた「選択」と酷使している。
2人の少女はあつらえたかの様に背中合わせで座らせられている。
これはどちらか1人の解放という事
憑依のはじまりはそんなに激しい現象はないのだけど、悪魔祓いになった途端、宙に浮いたり攻撃したりと悪魔憑あるあるの激しい展開のオンパレード。
途中、悪魔祓いの申請が降りなかったとのことで辞退する神父の登場。
長い祈りの言葉で如何にも効いてますよ…な感じだったので、あ〜結局神父さん一人勝ちかいと白けたのだが、あっさり首がぐりん。
よしよし!
ラスト、選択をしつこく迫られる各親達
選べない…選ばない…続く張り詰めた空気。
ついにキャサリンの父親が娘の名前を叫んで陣の中へと入っていく。
選ばれたキャサリン。
選ばれた先は悪魔の手中
消し潰される2本の内の1本の蝋燭。
この、キャサリンが選ばれ引き込まれた時の絶望の映像はすごかった。
誰も悪くない
各々が信じることをした。
それだけ
ただ悪魔に弄ばれただけ
結局、悪い事は悪魔のせいなのだ。
息を吹き返すアンジェラ。
笑顔でスクールへ行くも一つ空いた机。
キャサリンの両親のその後は何も描かれていない。
キャサリンは遊びでアンジェラに付き合い、取り憑かれ、その両親も愛する娘を失うという完全なる被害者。
きっとここはあえて描いていない。そこが非常にモヤるがそこを深掘りしてもバッドエンドが過ぎるので逆によかったのかも。この作品はハッピーエンドに見えるバッドエンドなので。
そしてホラーファン大好きなあの曲ですよ!
なんで?って思ったら正統な続編らしく…知らなかったよ…
「エクソシスト」は金字塔であり傑作。
私は続編は観ていないのだけど、あの傑作を観てしまえば評価が思いの外低いのは頷ける。
少しズルっこして「エクソシスト」を早回しで観たけど、オープニングの犬の喧嘩やウィジャボードでの降霊術、お腹に浮き出るhelp meの文字、宙に浮かぶ身体、神を信じられなくなった男(カラス神父)極め付けはリーガンのお母さん。
序盤にアンジェラの母親が異国の宗教でお腹の子を守るおまじないをしてもらっていたが、それによってその少女は2度守られたのかと思うと国は違えど神は同じなのかもしれないと少しだけ感じた。
いざという時、何を信じるかを問われる。