劇場公開日 2023年12月1日

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「正統な続編…? 神の御前で悪魔的嘘言わないで下さい。ただの“エクソシスト映画”の劣化亜流!」エクソシスト 信じる者 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0正統な続編…? 神の御前で悪魔的嘘言わないで下さい。ただの“エクソシスト映画”の劣化亜流!

2024年3月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

単純

寝られる

“ハロウィン新三部作”を成功させた(のか…?)デヴィッド・ゴードン・グリーン監督とブラムハウス・プロダクションズが次に挑んだのは、あのホラー映画の金字塔。
こちらもオリジナル第1作の正統な続編、新三部作の第一章として。
新たな恐怖と悪魔祓いが幕を開ける…。
…筈だったが、
興行的には不振。批評もラジー賞ノミネートレベルの酷評。
悪魔の仕業か…?
いや、見れば納得。言うなれば、これは製作側の仕業。

新婚旅行中にハイチ地震に遭った写真家のヴィクター。妻の命かお腹の子か選択迫られる。
13年後、ヴィクターは娘アンジェラと平穏に暮らしていた。
ある時アンジェラは親友のキャサリンと森へ。なかなか見つからずキャサリンの両親と心配する中、3日後に発見される。
しかしその後、周囲や少女二人に異変が…。

まず思ったのは、これ本当に『エクソシスト』の正統続編…?
オリジナルから50年後を舞台にした新たな物語…って事もあるかもしれないが、にしては繋がりが薄過ぎる。
全く別の作品を見ているよう。2018年版『ハロウィン』のようにもっと色濃くして欲しかった。
全く繋がりナシという訳ではない。ヴィクターの大切な人を亡くした片親はオリジナル第1作のクリスとデミアンの設定を合わせたよう。協力者になる元修道女の看護士ポーラの設定も精神科医で牧師のデミアンのよう。
しかしそれらが全く意味を成してない。
ドラマの軸はヴィクターとアンジェラの親子。悪魔とは無縁の家族に突然襲い掛かるという展開も似ているが、このドラマ部分が非常に退屈。二組のドラマを交錯させ、静かながらも不穏と暗示で重層的だったオリジナルのドラマ展開には足元にも及ばない。
3日後に発見された二人だが、“3日”というのは聖書エピソードの引用らしいが、全くピンと来ず。
ヴィクターは助けを求め、かつて悪魔祓いを目撃し、関連本も出しているクリスに相談。やっとここでオリジナルキャストのエレン・バースティン登場になるが、絶対的な必要性が感じられず。しかも出番も僅かだし。2018年版『ハロウィン』のジェイミー・リー・カーティスのようにもっとがっつり絡んで欲しかった。
書籍を出した事で娘リーガンと疎遠に。この設定の先も予想付いてしまった。まあサプライズ出演の“再会”は感慨深いものあったが…。

何だか全体的にドラマ展開や演出がチープなのだ。
クライマックスの悪魔祓い。苦しむ娘にヴィクターが呼び掛ける。親子愛を訴えた感動シーンなのだが、何だか興醒め。あのオリジナルの神対悪魔の荘厳さは何処へ…? あんなお涙頂戴は『エクソシスト』に要らない。
ハッピーエンド的なのも何だかなぁ…。
デヴィッド・ゴードン・グリーンの演出もレスリー・オドムJr.らキャスト陣も揃いも揃って光るものナシ。
少女の悪魔憑依演技、おぞましい特殊メイクやドスの効いた声なども全くインパクトに欠ける。
って言うか今回悪魔祓いに挑むのは、ポーラや別派牧師やブードゥー教祈祷師ら異色の編成。おそらくここにも(キャストにも)昨今の多様性を反映させたのだろうが、いやいや、何か違くね…?

全く別の作品と先述したが、それならまだいい。
氾濫するB級エクソシスト映画の劣化亜流。
こんなんで“エクソシスト”を冠するなんて、悪魔に憑かれろ!

昨今の名作ホラーの新シリーズやブラムハウス・ホラーはなかなか面白いもの多い。が、これは…
大外れ。
興行・批評の失敗を受け、デヴィッド・ゴードン・グリーンは降板。軌道修正するらしいが、本当にこんなんで新章シリーズやるの…?
悪魔に取り憑かれるよりゾッとする…。

『エクソシスト』を堕落させなければいいが…。
強いて言うならば、オリジナル第1作を久々に再見して、その偉大さを再確認出来た事が唯一の救い。

近大
mittyさんのコメント
2024年4月30日

ですよね〜。もの申したくなりますよね! 正統続編なんて、やめてほしいですよね。f^_^;

mitty