「考えてジワジワ伝わるタイプの怖さ」エクソシスト 信じる者 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
考えてジワジワ伝わるタイプの怖さ
非常に丁寧に一作目の続きをやっていて、実に「芯」を外してなかった印象。
過去作へのリスペクトがすごかった……
ゆえに、全シリーズを踏まえて(最低でも1作目を観て)いないとわかりにくい。
さらには、今どき様々なホラー表現に慣れた人々にはビジュアル的に怖いと思えなさそうでした。
1作目はホラー映画の金字塔であり、悪魔の憑いた姿をビジュアルで見せた画期的作品だったと同時に、「(キリスト教)信仰と自分の幸せ(欲)との葛藤、揺らぎ」「無私の自己犠牲的な愛」が隠されたテーマでした。
本作は信仰といってもキリスト教に限定せず、イスラム教、ユダヤ教、ブゥードゥ教、仏教など全ての宗教における「神を信じる心」を指し、「幸せ」「生きる意味」「愛」というもののあり方、悪魔がもたらす「精神的怖さ」がテーマになっていて。
意味を考えてジワジワ怖さが伝わるものゆえ、視覚的な怖さが薄めで、おまけにリスペクト重視が古臭さももたらしていて。
旧作ファンのマニアが作った感じで、なんとなく『シン・仮面ライダー』に近いような印象も抱きました。
だから初心者には、特に(どんな宗教であっても)信仰心が薄い日本人にゃ、これはわからないんじゃないかなぁ。
特に最後の選択の意味は、キリスト教文化圏で生まれ育たないと理解できないようにも思えて。
私は、欠片も信仰心はないけど、本と映画で信仰心を持った人々の心理状況を多少は(勘違いかもしれないけど)推測できるので、なるほどとうなりつつ楽しめましたが。
日本での興行的には苦戦しそうかなぁ、と。
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