「前半は大傑作、惜しい!!!」エクソシスト 信じる者 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
前半は大傑作、惜しい!!!
前半の緊張感・テンポ感のまま最後までいっていれば歴史に名を残す超絶大傑作映画になっていたと思う!
娘に一体何が起きてしまったんだ?!という絶望感、そして宗教的なものから目を背けていた主人公が徐々に霊的なもの悪魔的なものの影響を考え始める(背景音楽のピアノの旋律が徐々に「エクソシスト」のテーマになっていく演出も最高)中盤までは素晴らしい。
ただ、後半は登場人物が一気に増えてしまったのと(今回は悪魔は2人同時に憑依したので仕方がないのだが)、エレン・バースティン登場で話の主軸が少しぶれてしまい、その結果色々な要素が消化不良で煩雑になってしまった印象。
しかし、悪魔と人間の同窓会ってあるんだな〜ってくらい50年ぶりだな!といったノリの再会シーンは不思議な気持ちになりました笑
ラストは娘から主人公に向けるある選択の巧みさと本作の"信じる"とはどういうことか?というテーマへの繋げ方が「エクソシスト」だなーという作品性をちゃんと定義出来ていて上手い!と思いました。
主人公はウィリアム・フリードキン版の初代「エクソシスト」のように、我々観客と同じく心のどこかでは神様や悪魔なんて信じきれていないんですよ。"そこ"を悪魔はついてきて、人を信じることが出来るか?(本作では主人公は奥さんのことを信じることが出来るのか?)という選択を主人公に再度迫るという展開がアツい!
多宗教による悪魔祓いの儀式は多様性の今の世の中らしいかもしれませんが、人数多いって!笑
「ハロウィン」新三部作で油の乗ったデヴィッド・ゴードン・クリーン監督もジェイソン・ブラム監督による演出は
本作の前半を観ればめちゃくちゃ高品質というのがわかる。
ただし、「エクソシスト」という看板を背負い、レガシーを背負い、名優を再演させるという重荷を背負って動きが鈍ってしまった後半を観ていると、もはや彼らは過去のホラー名作タイトルに頼らず、彼らによる新たなホラーのタイトルを生み出す方が良いのではないかと思った。
IMbの海外レビューを読んでいても本作は酷評の嵐で笑、本作の続編製作は難しいかなと思うので、尚更新作に期待したい!
以下、私がこうすれば良かったんじゃないか?な展開
主人公が13年前に妻と娘のどちらを生かすか?の選択の時に実は自分の妻の方を選んでいて、娘のことは選んでいなかったというネタバラシはとてもよかった。ここを活かして、中盤からアンジェラに妻(実は妻のふりをした悪魔)を降霊させておく。キャサリンもその両親もいりません。でラストのどちらの娘を救うか?の展開は、妻と娘どちらを救うか?の二択に置き換える。娘を選べば妻は地獄に堕ちて永劫焼かれる。妻を選べば娘が・・・。という13年前と同じ選択を主人公にさせる。主人公は妻のフリをしている悪魔を見抜き、妻の言葉を信じて娘を守る(選ぶ)ことが出来るのか!?という展開です。
(ここまで書いてよく考えたら東野圭吾の「秘密」じゃねーか!と思いました笑)
パンフレットは高橋ヨシキさんによる安心のコラムがあり、大変満足です。