劇場公開日 2024年3月1日

「生きづらさを通じて変わる事に関して色々感じた作品」52ヘルツのクジラたち ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5生きづらさを通じて変わる事に関して色々感じた作品

2024年3月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

変われる喜び、変わりたくても変われない悲しさ苦しさ、変わってしまう愚かさ悲しさ、そして変わらないことの良さもあったり。

様々な生きづらさを通して、人生や性格、人間関係なんかの変わり様が描かれていたような気がする、そんな作品でした。

個々の抱える生きづらさ、問題ひとつでも1作品のテーマになりそうなのに、そんな事がいくつも描かれるので、見てるとだんだんとしんどい気持ちになってくる。

杉咲花さん
「市子」で個人的には印象がすごく変わった俳優さんですが、本作でも市子のように過去に暗いものを持った人物を演じている。
こういう役を演じたらホントお見事な感じ。

ただ悪い言い方をすれば市子感が拭えない感じはある。黒いワンピース着てたりするし。
まだ市子も上映してるし、そこはどうしてもなんだかダブって見えてしまう。

本作誰かを救うって事が次から次へと引き継がれていくって話が軸かな?と思うけど、
個人的には変わるって事が強く印象に残った。
人生やり直すように変われたり。
昔とは、出会った時とは人が変わってしまったり。
変わりたいのに、変われなかったり。
変われるって勇気ももらえる気がするけど、変われない怖さや変わってしまう事の悲しさなんかも印象的だった。
ただ変わらない友情、優しさなんかもあって、変わらない事の良さもちゃんと描かれていたかなと思う。

物語は一応ハッピーエンドのような雰囲気だけど、経験した過去はどうにも捨てられない事なんかを考えるとまだまだきっと苦労する事も多いだろうと思うと暫定ハッピーエンドみたいな感じ。映画は終わるけど人生はまだまだこれからな感じ。

ヤングケアラー含め介護の問題も扱われ、そういった人たちにも届いて欲しい気もする作品だけど、そういう人ほどなんだか届きにくい気がするのは非常にもどかしいところな気がする。

重たい内容が次々と描かれるので、しんどい気持ちになるけど、表面からは見えないけど誰もが生きづらさとかも抱えているのかもしれないと思うと人に対して寛容にもなれるような気がしたそんな作品でした。

ごはん