イコライザー THE FINAL : 特集
【ありがとう、そして、さようなら「イコライザー」】
最終作にして面白さ3倍! 敵の強さ3倍! 愛も3倍!
“伝説の9秒”は、あなたの想像をはるかに超える――
壮絶・怒涛の大無双を、映画館でとくと拝みやがれ!
アクション映画は素晴らしい。主人公が爆発的に暴れ回る姿を観ると、私たちが抱える怒りを代理で発散させてくれているように思えるからだ。
その点、デンゼル・ワシントン主演「イコライザー」シリーズは素晴らしい。元CIAトップエージェントの主人公が、世の悪を完全抹消する“イコライザー”として暗躍する姿を、スタイリッシュかつ哲学的に描き、世界中でアツい人気を博している。
そんな名作シリーズの第3弾にして最終作「イコライザー THE FINAL」が、10月6日から公開される。
世のアクション映画ファンよ。いや、世の人類よ。なんでもいいから本作を観に行ってくれ。今度の「イコライザー」はあらゆる要素が“これまでの3倍”と言って差し支えない、驚天動地の一作となっているからだ。
この記事では、本作のどこがどうスゴイのかの解説や、実際に鑑賞したレビュー、そして主人公ロバート・マッコールへの感謝状を記述していく。この10月、映画館で“伝説の9秒”を拝みやがれ――。
【期待超えてきた】第3弾かつ最終作は面白さ3倍!
無双!壮絶!怒涛!“伝説の9秒”を観ずに死ねるか!?
まずは作品の大きな見どころを4つにわけてご紹介しよう。物語やシリーズの詳細は、手数をかけて申し訳ないが、上記の予告編から確認してくれ。
[スピード3倍]9秒やる。生きるか死ぬか決めろ。
まだ速くなるのか!? “19秒で殺す”から“9秒で殺す”にメガ進化ッ!
アクションヒーローと言えど年をとる。人気シリーズだと長年にわたって続くため、作品を重ねるごとに、普通は主人公が衰えていく様子をドラマの中核に据える。
しかし「イコライザー」、というかロバート・マッコールは一味違う。約10年続くシリーズだが、マッコールの代名詞とも言える“大勢の敵を瞬殺”は作品を重ねるごとに速く・凄惨になっており、第一作では“19秒で殺す”だったのが、本作では“9秒で殺す”に進化している。
大勢の敵に銃を突きつけられるなか、椅子にゆったりくつろいで「9秒やる。生きるか死ぬか決めろ」とか宣言して、部屋にいる全員を本当に9秒で殺す。さっきまで威勢がよかった悪党たちが、電池が抜かれたおもちゃみたいに床に転がるさまは、観ていて背徳的な快感がかけめぐってくる。
でも待ってくれ。19秒から9秒にって、よく考えたらそれスピード3倍か? ……細けえこたいいんだよ! とにかく観よう、すっごいから。
[敵のヤバさ3倍]今度の悪は超鬼畜! できるだけ酷い方法で死んでほしいマフィアが登場
主人公はもちろんだが、敵のテイストも映画の魅力に直結しているもの。本作「イコライザー THE FINAL」の敵はどうか? ディ・モールト(非常に)! ディ・モールト(非常に)悪い奴らだぞ!
具体的にどう悪いのかは本編でのお楽しみだが、これが本当に気分が落ち込むくらいヤバいイタリアン・マフィアなのだ。「悪い奴ほどよく眠る」というが、こいつらはきっと毎日10時間くらい寝るんだろう、ってくらい悪い。
で、シリーズ最凶と言える鬼畜野郎どもに対し、できるだけ酷い方法で死んでほしいぞとヘイトが溜まるなか、これまたシリーズ最凶の仕上がりをみせるロバート・マッコールが立ち上がるからまた面白い。
果たして死闘の幕が上がるが……最後に立っているのはどっちだ!?
[マッコールの愛3倍]命を救ってくれた人々、美しい町… 全部、オレが“護る”――
マッコールは基本、守るべきものを守りながら戦うハメになるのだが、本作でもそれはそう。
が、これまでの2作と違うのは、守るべき対象が1人だった(第一作では娼婦の少女、第二作では隣人の青年)のに対し、本作「イコライザー THE FINAL」では“町ごと護る”にスケールアップしている点だ。
イタリア・シチリア島で大暴れしたマッコールは、いろいろあって瀕死の重症を負ってしまう。出血多量によるショック症状で死の淵をさまようが、間一髪、美しい町の人々に命を救われる。
町の名はアルタモンテ。まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」を押し花にして閉じ込めたみたいな風景に、陽気で善良な人々の優しさ。ここに平穏を見つけたマッコールは、孤独なイコライザーとしての顔を捨て、残りの人生をその地で過ごすと誓う……。
その矢先。上述の鬼畜マフィアによる事件が次々と勃発する。恐怖におびえる町民たちの姿に、マッコールのなかで静かに、しかし確実に怒りが増幅。町も人も、全部オレが“護る”。マッコールの愛は、“史上最も容赦ない正義の鉄槌”へと反転していく。
シリーズで初めて海外が舞台でもあるので、これまでの作品とはまた違う新鮮味もある最終作。さて、あなたはどう観るか?
[感動も3倍]なぜマッコールはシチリア島に? ラストに明かされる“理由”を見逃すな
ネタバレなしで語るがラスト付近にも非常にグッとくる場面があるので要注目!
物語はアメリカを飛び出してイタリア・シチリア島から始まるわけで、疑問なのは「タクシー運転手のマッコールが、なぜイタリアのマフィアがはびこる島にいるのか?」ということ。理由はラストに明かされるが……これが本当に「マッコールらしいなあ」と感動する理由なのだ。
さり気ない、けれども胸に迫るそのシーンは、ぜひ劇場で目撃してほしい!
【レビュー】本当にこれを待ってた…総じて“最高”!
脳に、心にブッ刺さる! 迷ってるなら観に行こうよ!
見どころの紹介の次に、実際に観て“どれくらい刺さったのか”をレビューしていこう。映画.comのアクション好き編集部員が、本音で感想を語っていくので、ぜひご参考に!
先に言っておくと、みんなが観たいマッコール、全部のせだった。
[アクション最高]もう止まらない! 瞬殺に次ぐ瞬殺!
マッコールの“怒りの鉄槌”がヤバい…これはシリーズ最恐だ!
やはりアクションが大きな見どころだが、その特徴を一言で表すならば「緩急」である。
上述の9秒で瞬殺は正直、キレッキレで速すぎて動きが見えなかった。一方でマッコールが深手を負うと、一転して「指一本で大男の関節をキメる」的な技術で悪を圧倒する。かと思いきや、ワゴン車を急発進させて敵を一網打尽にしようとしたり……。
この動から静、静から動のダイナミックな転換がもはや達人芸。ケレン味は心地いいくらいに抑えられているためひとつひとつの動きが大袈裟ではなく、それがかえってフィクションではない本物の達人のすごみを感じられ、観ていてゾクゾクしてきたくらいだ。
そして作中最大級の見せ場も言わずもがな素晴らしく、イタリア中のマフィアを殺して回るのではないかと心配になるくらいすさまじかった(語彙力)。
殺しのテクニックと暴力の強烈さはシリーズ最恐。圧巻に次ぐ圧巻のアクションにはため息漏れっぱなし、尊敬の念もわきあがりっぱなし。目ん玉かっぴらいて拝み倒すべし。
[ドラマ最高]おまえはいい人間か?
マッコールが“戦う理由”を再構築する集大成的物語に、心と体がアツくなる
マッコールはなぜ、赤の他人を救うために命をかけて戦うのか? これまでも宿命的に描かれてきたテーマを、本作では新たに解体・再構築するドラマでもあったことがとても痺れた。
「誰かが誰かに許しがたいことをしている。それを私はなんとかしてあげられる」という「イコライザー2」でのマッコールのセリフを覚えているだろうか。そのうえで、本作中盤で町の医者から「おまえは悪い人間か? いい人間か?」と問われたマッコールの回答にも、ぜひ耳を傾けてもらえればと思う。筆者はこのシークエンスにグッときて仕方なかった。
そして本作のアントワン・フークア監督とデンゼル・ワシントンは、アカデミー賞主演男優賞受賞作「トレーニング デイ」や、当の「イコライザー」シリーズでタッグを組んできた、いわば盟友だ。彼らの集大成ともいえる物語で、マッコールが戦う意味という“原点のドラマ”に光を当てたという事実に、筆者の胸には温かな感動が広がっていった。
[デンゼル・ワシントンの演技最高]アカデミー賞俳優だから出る、
この説得力 ダコタ・ファニングとの19年ぶり共演もグッとくる
昼下がりにカフェで紅茶を飲み、市場で新鮮な魚を買い、夜は町の人々と田舎料理に舌鼓をうつ。アルタモンテの空気に包まれ、毎日を仏のような表情で過ごすロバート・マッコール。しかし徐々に徐々に、マフィアに対する怒りのボルテージが上がっていき、最終的に菩薩から般若の形相に切り替わる過程の恐ろしさたるや……あまりの落差に、観ているこっちの肝っ玉も縮み上がる。
「イコライザー」の魅力のひとつは、主演をアカデミー賞俳優のデンゼル・ワシントンが張ることで、大味なアクション映画に留まらない、重厚な人間ドラマとしても格が高いことにある。
マッコールを肉体自慢の若手スターが演じたら、ここまで魅力的なキャラにはなっていないだろう。酸いも甘いも噛み分けたワシントンだからこそ、マッコールが感じるマフィアへの怒りが、大切な人を失ってきた過去の悲しみが、彼の強さの恐ろしさが、そして死戦を離れ穏やかに暮らす喜びと後ろめたさが、観客の心にダイレクトに伝わってくるのだ。まさに唯一無二の名キャラクター。
最終作となる本作は、ぜひアクションだけでなく、マッコールのドラマと、ワシントンの名演に、より注視してほしい。「イコライザー」と書き「人生」と読む。きっと大切な人生訓が得られはずだ。デンゼル・ワシントンとダコタ・ファニングの、「マイ・ボディガード」以来、約19年ぶりの共演も胸をアツくさせる。
総じて最高、観たかったものが全部のせ。期待以上の、幾重にも心を動かすシーンがあなたを待っている。
【ありがとう、そして、さようなら】
ロバート・マッコール殿へ、映画.comから感謝状
さて、アツく語ってきたこの特集も、ここらでお終いにしよう。最後はしっとりと、映画.comからロバート・マッコールへの感謝の気持ちをここに表明させていただく。
以上、映画館で会おう。