「必殺仕事人デンゼル ケリつけます」イコライザー THE FINAL 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
必殺仕事人デンゼル ケリつけます
ある時はホームセンター従業員、ある時はタクシー運転手。一見、普通の男。その正体は…
元CIA凄腕エージェント。法で裁けぬ悪人どもに裁きを下す。
彼の名は、ロバート・マッコール!
米版“必殺仕事人”とでも言うべき設定やキャラの面白さ、デンゼル・ワシントンの重厚な演技とキレのあるアクション、アントワン・フークアの手堅い演出が受け、デンゼルの長いキャリアの中でも唯一シリーズ化。
3作目にして、最後の“仕事”。
いつもは何か仕事をしているマッコール。今回はいきなり“仕事”。
イタリアはシチリアでマフィアのワイナリーを奇襲。
何故、彼がイタリアに…? その理由は最後に明かされる。
悪人どもをいつもながら瞬殺するも、その際深手を負ってしまう。
車を走らせている内に意識朦朧に。そこを一人の警官に助けられ、町医者の元に。一命を取り留める。
マッコールがいるのはアマルフィにある田舎町だった。すぐお暇しようとするが、暫く療養する事に。
のどかで美しい町。
助けてくれた警官、命を救ってくれた医者、行きつけになったカフェの店主…善良な人たちばかり。
やがてここに居心地を感じ、“仕事”から足を洗う決意をするまでに。
マッコール、終着の地。戦いに終止符が…。
しかし、ここにもいるのだ。許せぬ悪が。
町を牛耳るマフィア。極悪非道。
苦しめられる町人たち。
マッコールは若きCIAエージェントのエマにある情報を送っていた。その情報を元にエマが追っていたテロ事件。マフィアはそれとも繋がりあり。
マッコールよ、今はまだ戦いを終える時ではない。
君にしか出来ない。許し難き奴らに死を以て制裁を!
デンゼルも70間近。さすがに動き回る大立ち回りではないものの、アクションの一つ一つがパンチの効くほどの重みあり。
話題の一つの僅か9秒での瞬殺。その目にも止まらぬ速さは年齢を全く感じさせず、圧巻の一言。
マッコールが魅力的なのはその人間性。前2作はたった一人の為に。今回は町とそこに住む人々の為に。
見過ごせない。悪を許せない。
そんな彼とて自分自身の在りかたに悩む。
医者が処置をする前、マッコールに聞く。君はいい人間か、悪い人間か。
マッコールは答える。分からない。
それが彼自身を表している。
もし“悪い人間”ならば、自分の行為を肯定するだろう。
幾ら悪に制裁を下すとは言え、法に反する自衛。果たしてこれを正義と言えるのか…? だから、“分からない”。
自分自身では、自分がやっている事が正しきか否か、分からない。
それは周囲が判断してくれる。見てくれる。
例え存在が知られなくても。
誰かが、正義が、我々を救ってくれた。
それを驕りにもしない。
今回町ごと人々を救ったマッコールだが、元々はある一人の為に。
友人…? 知人…? 全くの他人。彼に降りかかった不運を見過ごせなかった。
その件を追う内に、イタリアのワイナリーに。そして今回の戦いに雪崩れ込んだ。乗りかかった船から下りる事など出来なかった。
それが、マッコールという男。
若きエマは何故命を懸けてまでそんな行為をするのか分からない。
が、いずれ彼女も分かる時が来るだろう。
デンゼルと『マイ・ボディガード』以来19年ぶりの共演となるダコタ・ファニングが、マッコールとある関連ある役柄なのも感慨深い。
エマが追っていた件とマッコールのワイナリー奇襲。二つの伏線が回収されるものの、話自体はドストレートな勧善懲悪。
マッコールが強すぎて(余裕すらあり)、極悪マフィア相手でもハラハラドキドキがないのは物足りなさも感じるが、それくらい今回の悪人どもは鬼畜。
バイオレンス描写は結構キツめだが、その分痛快スカッと!
情けは要らぬ。やったれ、マッコール!
邦題は“FINAL”と付けられ一応最終作と言われているが、原題はただの“3”。
この世に悪が蔓延る限り、見過ごせぬ。許せぬ。彼の戦いは続く。
晴らせぬ恨みを晴らし
許せぬ人でなしを消す
いずれも人知れず
仕掛けて仕損じ無し
人呼んで…
必殺仕事請負人、ロバート・マッコール!
もはや彼と互角に渡り合えそうなのは、ドウェインかステイサムか、あの殺し屋アクションか。
是非見てみたいものだ。ロバート・マッコールvsジョン・ウィック!
でも、彼らが闘う理由などないか…。
ただのおバカな妄想故、お許し下さい…。