「触れ幅がすごい」イコライザー THE FINAL キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
触れ幅がすごい
「悪いヤツにもそれなりの理由があって…」
「社会や環境が彼を追い詰めたから…」
世の中の犯罪映画にはびこるそんな甘っちょろい理屈を一切受け付けないのがこのロバート・マッコールさん。
悪いヤツは悪いヤツ。
問答無用であの世へ送る。
日曜朝イチの観客はほとんどが男性。
まあ、そういう映画ではあるのかな。
暴力をメインとする作品ではあるんだけど、本作まずは舞台となる港町の景色の美しさよ。
いわゆる「絶景」ってことじゃなくて、多分他の地域と隔絶された感じの小さな集落で、自然の中で暮らす人々の姿が素敵に描かれている。
映画の随所で、この街と人と自然が調和したカットが拝めるってだけでも眼福。
そして人懐っこい人々と、その平穏な暮らし。
そんな、裕福ではないが幸せな暮らしに寄生するマフィア達の悪行。
この対比の触れ幅がすごいので、主人公の、現代の映画としてはさすがにかなり問題の多い行動も、「うん、これはしょうがない!」と飲み込んでしまう。
そう、やはり我々は、悪いヤツらには徹底的に罰を与えたいんだ。
「人権」という意味で問題があるのは百も承知で、それでも抑えきれないそういう気持ちの良さがここにはある。
ストーリーが凄く上手にまとまってて、前作との繋がりも綺麗。
いやもう、何しろこの街の人々が素敵に描かれているので「そりゃ、ここで暮らしたくなるよな」「そりゃ、シリーズもファイナルになるよな」という気持ちがよく分かる。
個人的に、こういう暴力を扱う作品で大事なことは、「暴力」を「強さ」「カッコ良さ」ではなく「怖さ」として描くことだと思っていて、そういう意味でマッコールさんは、悪党を相手に圧倒的な強さを見せるけど、観客には「これはこれでこの人も怖いな」と思わせるあたり、「正義のための暴力」を単純に正当化してるワケではない感じがして府に落ちる。
デンゼル・ワシントンってもう67歳なんでしょ?
アカデミー賞とか獲って、それでもこんな暴力映画に、それもシリーズで出続けてくれるってのもなんか嬉しいね。
ダコタ・ファニングって、あの「宇宙戦争」でピーピー泣いてたコでしょ?
あらもう、こんなに大きくなって…。
で、これ、ホントにファイナルなの?
「あの孤独だったマッコールさんが、『終の棲家』を見つけた」って、映画的には「続編フラグ」だと思っちゃうんだけど。
日本の映画会社が無許可で邦題付けることもないんだろうから、まあホントなんだろうな。