劇場公開日 2000年12月16日

13デイズ : 映画評論・批評

2000年12月15日更新

2000年12月16日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

正月映画唯一の、知的好奇心をくすぐる作品

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キューバ危機という、日本人には地理的にも時間的にも遠い事件がテーマ。しかも主演がケビン・コスナーで、監督がロジャー・ドナルドソンと聞けば、よけいに食指が動かない。ましてや、シュワの「シックス・デイ」と題名も似ていて、正月映画の中ではどうにも分が悪い作品だ。

だが、それでもこの映画を選ぶ人には、知的興奮の発露と鑑賞後の充足感をお約束しよう。言うまでもなく、そこに描かれるのは「結果が分かっている事件」である。しかし驚くべきはそのプロセスだ。キューバ危機の舞台裏がいかに危うく、しかも波乱に満ちていたのか、それは我々の想像を遥かに越えている。

それは、世界がデタント(緊張緩和)に向かう以前に繰り広げられた壮絶な知能戦である。さながら、ケネディとフルシチョフが、即ちホワイトハウスとクレムリンが、世界地図上で真剣勝負したチェスのようである。

この映画の最大の功労者は、脚本家のデビッド・セルフであることは疑いない。弱冠27歳でこの脚本を書き上げたセルフは、一躍売れっ子作家の仲間入りを果たした。彼の次回作は、今年オスカーを手にしたサム・メンデスが監督し、トム・ハンクスが主演するという。

(駒井尚文・編集部)

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