打ち切りの危機に瀕する、面白ドラマ : FROM HOLLYWOOD CAFE

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コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第93回

2007年9月4日更新 小西未来

第93回:打ち切りの危機に瀕する、面白ドラマ

1年が経つのは早いもので、今年もTVの新シーズンが始まろうとしている。お気に入りの「LOST」(シーズン4)は、エピソードの減少と放送パターンの変更のため来年2月までお預けだけど、人気番組の多くが9月末に放送再開となる。新番組が一斉にデビューを飾るのもこの時期で、各局が放つ大量の新ドラマのなかから、昨年の「HEROES/ヒーローズ」や「Ugly Betty」に続くヒット番組が生まれるかどうか注目されている。

それにしても、アメリカで新番組を立ち上げるのは大変である。パイロット版を製作しても、放送が決まることのほうが少ないし(あのJ・J・エイブラムスが企画した新ドラマ「The Catch」も、パイロットの版の評価は高かったにも関わらず、ボツとなった)、シリーズ化が決まったとしても、視聴率が悪ければすぐに打ち切りとなってしまう。

しかし、キャンセルされた番組のすべてが駄作というわけではない。視聴率の低さには、放送時間や放送パターン、宣伝など複数の要素が絡んでくるからだ。

日本ではAXNで放送中の「キッドナップ」 日本ではAXNで放送中の「キッドナップ」 (C)2006 Sony Pictures Television Inc.
All Rights Reserved.

たとえば、昨年たった3話で放送を打ち切られた「キッドナップ」という番組がある。誘拐された富豪の息子を、誘拐事件を専門とする私立探偵(ジェレミー・シスト)とFBI捜査官(デルロイ・リンド)が捜索するという物語で、常に一歩先を行く周到な犯人との頭脳戦やアクションに、極限状況に置かれた人間たちのドラマが合わさって、知的な「24」という感じだった(1話で1日の出来事を描くという構成も、「24」を彷彿とさせる)。テレビ放送はあいにく3話のみだったが、番組のファンからの強い要望に応えて、今年「キッドナップ」のDVDが発売された。未放送の10話を加えた全13話で、ストーリーもきちんと完結している。

同じく、昨年放送がスタートした「Jericho」も、放送中止の危機に瀕してきた番組である。主要都市すべてが核による攻撃を受けたアメリカを舞台に、カンザスの田舎町ジェリコの人々が新たな現実と立ち向かうというストーリーで、「LOST」と同様、SFとヒューマンドラマがうまい具合にミックスしている。しかし、あいにく視聴率が低いため、全米放送を手がけるCBSはこれまで何度となく放送中止を発表してきた(そのたびにファンの熱狂的な抗議を受けて、決定を翻している)。なんとかシーズン2への続行は決定したものの、予断を許さない状況である。

「キッドナップ」にしろ、「Jericho」にしろ、これほど面白いドラマが転がっているいまの米TV業界は正直すごいと思う。今後も引き続き探していくので、お楽しみに。

http://axn.co.jp/kidnapped/ AXN「キッドナップ」オフィシャルサイト

[筆者紹介]

小西未来

小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を選考するハリウッド外国人記者協会(HFPA)に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」(http://www.miraikonishi.com)では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

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