コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第204回
2012年11月5日更新
第204回:クリスマス商戦に向け、新作が出そろうタブレット端末
早いもので、2012年も残すところ2カ月になってしまった。ショッピングモールのディスプレイも次々とホリデー仕様の華やかなものに変わり、クリスマス商戦の開幕を待ち構えている。アメリカでは家族や親戚だけじゃなくて、友人やお世話になっている人にもクリスマスプレゼントを贈るから、出費も少なくない。ある調査によれば、平均で700ドルを費やすというから、この時期が米小売業界最大のかきいれ時というのも納得である。
プレゼントのなかでも人気が高いのは電化製品で、なかでも最新ガジェットは鉄板だ。よほどの機械オンチでなければ、話題の最新機器をもらって嫌な気分になるわけがないし、送り主もプレゼント交換のときに脚光を集めることができる。唯一の難点は値が張ることだが、人気のタブレット端末も7インチ版なら手が出しやすい。各メーカーもホリデーシーズンを狙って、Nexus 7やKindle Fire、Nook HDなどの新製品をリリース。タブレット端末iPadでトップのセールスを誇るアップルも、iPad miniで7インチ市場に参戦している。それぞれスペックも価格も異なるから、ギフトを選ぶほうも大変である。
ホリデーシーズンに投入された新製品のなかで、僕が注目していたのはタブレット端末Surfaceだ。マイクロソフトがiPadキラーとして開発したデバイスで、Touch Coverと呼ばれるキーボード付きカバーに対応している。タッチスクリーンではタイピングが難しい、キーボードを持ち運ぶのは面倒くさい、という悩みを解決した夢の製品で、もしかしたら本当にiPadの対抗馬になるのではないかと期待していた。しかし、実際に触ってみると、このTouch Coverの感触が悪い。キーが沈まないので、タッチスクリーンを叩いているのと大差ないのだ。搭載されているWindows RTというOSは遅いし、Touch Coverとセットで買うと600ドル以上になるので、お買い得とはいえない。タブレットとPCの良いところ取り的な位置を目指した商品だけれど、どちらとしても不完全な結果になってしまっていると思う。
と、文句をつけてみたけれど、それは自分が購入することを前提としているから。誰かにプレゼントしてもらえるならば、とくに不満はない。仕事には使えなくても、自慢することができるから。こういう理由から、やっぱり最新ガジェットのギフトは無敵だと思うのだ。
誰かiPad miniをプレゼントしてくれないかな。
筆者紹介
小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。
Twitter:@miraikonishi