コラム:韓国の人がぶっちゃける、made in KOREA - 第12回
2011年12月22日更新
韓国男性にとって、究極の「悪い男」とは?
前回、「ボスを守れ」のコラムで「悪い男」をテーマとして書いた後、次回作として「赤と黒」を提案されたときは、偶然の一致に驚きを隠せませんでした。なぜなら、「赤と黒」の原題が「悪い男」だったからです。
前回お話したとおり、韓国で“悪い男”というキーワードが初めてメディアで注目されたのは、間違いなく映画「悪い男」がきっかけでしょう。話題が話題を呼び、映画を見ていない人でさえも、“悪い男”というキーワードに反応していました。
当時は、映画が本来の意味の“悪い男”を描いた話だったため、言葉のとおり否定的な意味に受け取られていました。しかし、8年後に同じタイトルで始まったドラマ「悪い男」を見れば、今の時代ではこの言葉がどういう意味で使われているかわかることでしょう。
ドラマ「赤と黒」で、“女性に決して親切ではないけれど魅力的な男”を演じたキム・ナムギルは、何人もの美女を振り回し、それでも愛される役どころでした。そして、実際にスタッフや視聴者を振り回す“悪い男”となり話題を呼びました。
ドラマ終盤、クランクアップも待たずに徴兵へ行ってしまったナムギル。国民の義務とはいえ、徴兵に行くことを知っていたはずなのに、ドラマ主演を決めてしまいました。しかし、最終的に代役の後姿を映すしかなかった撮影陣も、主演男優が消えてしまったドラマの視聴者も、ひとりとして彼を責めず心から惜しんでいた様子です。普通ならば、無責任だと責められても仕方ないところですが、この異例な反応はやはり、“悪い男”というキーワードがもたらした魔法のような免罪符だったのかもしれません。
ちなみに私は、このドラマにもうひとつの“悪い男”が隠されている気がします。数多くの女性を惑わす“悪い男”ですが、韓国人男性のほぼ99%を敵に回した“史上最悪の悪い男”がいるのです。
それは、なにを隠そう俳優のヨン・ジョンフン。本作でヒロインを務めた、“韓国3大美人女優”と名高いハン・ガインと結婚し、西洋と東洋の美しさを織り交ぜた可憐(かれん)なマスクのガインを独占している彼は、間違いなく“悪い男”なのです。