コラム:Celeb☆Graphy セレブ☆グラフィー - 第67回
2017年10月19日更新
【vol.67】“恩人” ハーベイ・ワインスタインのセクハラ騒動に男性スターたちの反応は…
ハリウッドの大物プロデューサー、ハーベイ・ワインスタインのセクハラ行為が報じられてから早2週間。事態は収束に向かうどころか、余波が広がるばかりです。被害を公表する女優たちは後を絶たず、その人数は45人以上にも上ります。そして非難の声は女性だけでなく、男性からも。今回は、セクハラや性的暴行に「NO」を突きつけた男性の中でも、ワインスタインとのつながりが強かったスターたちの反応にフォーカスします。
今回の大騒動の引き金となったのは、10月5日(現地時間)のニューヨーク・タイムズ紙の報道。ハーベイ・ワインスタインが30年以上にわたり、アシュレイ・ジャッドやローズ・マッゴーワンといった女優たちにセクシャルハラスメントを繰り返し、示談を成立させていたという内容でした。
ハーベイ・ワインスタインは、弟のボブ・ワインスタインとともに設立したミラマックスとワインスタイン・カンパニーから次々と良作を世に送り出し、アカデミー賞を最高峰とする賞レースでは毎年、華々しい成果を残してきた手練のプロデューサー。ミラマックス時代には、クエンティン・タランティーノ監督やマット・デイモン&ベン・アフレックが彼のおかげでブレイクしました。その豪腕ぶりで知られ、過去に暴言が報じられたこともたびたび。いわば、「昔ながら」のハリウッドの顔役という存在でした。
“ニューヨーク・タイムズ砲”のあと、ミラマックス育ちで第一声をあげたのは、「クラークス」「チェイシング・エイミー」などで90年代インディペンデント界の注目株だったケビン・スミス監督。「彼は、僕の最初の14年のキャリアに出資してくれて、僕にとっては実のあることだったけど、他の人にとってはひどく苦痛だったことがわかった。とてもうしろめたい」と複雑な心境。後日、ワインスタイン関連の作品から今後得られる利益をすべて、業界内のジェンダー平等を推進する非営利組織「Women In Film」に寄付することを発表しました。アクションを起こしたことで、事件を真摯に受け止めていることが伝わってきますね。
ワインスタインが、共同会長を務めていたワインスタイン・カンパニーから解雇されると、一気に“断罪”のムードが濃くなったように思います。出世作「フロム・ダスク・ティル・ドーン」や、初監督作「コンフェッション」がミラマックス作品だったジョージ・クルーニーは、「擁護できない。まず口にできるのはこの一言しかない」と、セクハラ自体も、金銭による口止めも非難。ワインスタインのセクハラはハリウッドの“公然の秘密”だったという説が出回っていましたが、「僕はこういった類の行為を一度たりとも目にしていない」と関知していなかったことを強調しました。
「見て見ぬふり」をして悪事を助長させていたという汚名を払拭しようとする発言は、クルーニーだけにかぎりません。「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」でベン・アフレックとともにアカデミー賞脚本賞を受賞したマット・デイモンも、「もしハーベイがそんなことをしている場に僕も居合わせていたら、彼を絶対に止めていた」と断言。犯罪を黙認したことで「共犯」扱いされるのは、なんとしても避けたいようです。
デイモンは見て見ぬふりをした疑いに加え、2004年にワインスタインの告発記事のもみ消し工作に加担したという報道でイメージダウン。米Deadlineでの釈明によれば、ワインスタインの頼みで記者に電話はしたけど、問題の記事で取り上げられるはずだったミラマックスのスタッフの仕事ぶりについて自分の体験を説明しただけだったとのこと。記事の詳細は知らなかったし、妨害はしていないと無実を訴えました。