コラム:Celeb☆Graphy セレブ☆グラフィー - 第3回

2014年2月27日更新

Celeb☆Graphy セレブ☆グラフィー

【Vol.3】特大号「LGBT特集:同性愛をカミングアウトしたスターたち」

◆カミングアウトをめぐる大きな変化:社会全体がオープンに

かつてのハリウッドでは、「バレたら一巻の終わり」ってほど、スターなら隠し通さなきゃいけない秘密だった同性愛。自ら公表するなんてもってのほかでした。それが最近ではセレブたちの努力の甲斐あってか、カミングアウトが「勇気ある行為」として定着し、称賛の的へと昇格。ここ数年、LGBTに関する環境は確実に変化を遂げているんです。

☆「glee」クリス・コルファー、ゲイ役×カミングアウト=ゲイカルチャーのアイコン
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ゲイでファッショニスタのカートは、人気ドラマ「glee/グリー」の中でも1、2を争う人気キャラクター。そのカート役で俳優デビュー&大ブレイクしたのが、ご存じクリス・コルファー。現在23歳です。ハイトーンの美声にキュートなルックス。そのうえ文才まであるんだからスゴイですよね。そんなクリス、ドラマがレギュラー化された翌月の2009年10月に、アドボケイト誌で遠まわしにゲイだと発言。なのに数週間後には、「秘密にしておく」とちょっとあいまいに……。モヤモヤ感が高まる中、12月にトーク番組「チェルシー・レイトリー」で同性愛者だとハッキリ認めて、一件落着となりました。それからはカートの人気と重なって、クリス本人も若いゲイたちのアイコン的存在に。そしてタイム誌も認めるその影響力は、同世代の「glee/グリー」ファンだけにとどまりません。高校時代にいじめにあっていたというクリス、キッズたちにいじめの対処法を伝授! 「セサミストリート」でエルモと一緒に呼びかけました。プライベートでは、俳優経験アリの映画スタッフ、ウィル・シャーロッド(32)と交際中みたい。公私ともに絶好調!!

☆カミングアウトでキャリア低迷、ハリウッドで干されたルパート・エベレット
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でも25年前のハリウッドでは、カミングアウトはキャリアの死を意味していたんです。その苦汁をなめたのが、日本における第1次英国男子ブームの火付け役、ルパート・エベレット(54)。ゲイを演じた1984年の主演作「アナザー・カントリー」で脚光を浴び、順調満帆にみえた89年、半自伝的小説を出してゲイをカミングアウト。ところが途端に仕事は激減。ヒュー・グラントやコリン・ファースら同世代の英国俳優がハリウッドで大活躍する中、完全に干されてしまったんです。97年の「ベスト・フレンズ・ウェディング」でまたゲイ役を好演して再ブレイク!かと思いきや、やっぱり大作の主演とはほど遠い日々。09年のオブザーバー紙で「正直、売れたいと思っている俳優たちに、カミングアウトはすすめられないね」と毒を吐きました。その後も、「ハリウッドは保守的。僕は潰された」と言い続けてます。時代の生き証人ですね。それにしても、美貌と才能があるのに、差別や偏見に勝てないなんて切なすぎる。

☆番組打ち切りから好感度No.1へ。レズビアン公表の先駆者エレン・デジェネレス
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一方、逆境を乗り越え、アメリカのお昼の顔として不動の人気を手に入れたのは、ユーモアセンス抜群のエレン・デジェネレス(写真左)。「AfterEllen.com(エレンに続け.com)」ってレズ&バイ女性向けのサイトができちゃうくらいなレズビアン公表の先駆者なんです。今から遡ること約17年、1997年4月。エレンは主演していたシットコム「エレン」の番組中に、演じているキャラクターに告白させる形でカミングアウト! そしたらなんと、番組は次のシーズンで打ち切りに……。それでもエレンはめげません。トーク番組の司会者として、人気の巻き返しに大成功! 今では好感度No.1の女性に選ばれるほど、視聴者に愛される存在になりました。私生活では、2008年に結婚した「アリーmyラブ」のポーシャ・デ・ロッシ(写真右)とラブラブ。

☆公然の秘密だったジョディ・フォスター、時代の変化を語る
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子役出身の名女優ジョディ・フォスター(写真左)がレズビアンなのは、かなり昔から映画通の間では知られた話でした。2007年、授賞式のスピーチで長年付き合ってきた「美しいシドニー」に感謝したジョディ。すると、メディアが一斉に「カミングアウトだ!」と食いつきました。その結果、彼女のセクシャリティは“誰もが知っている秘密”状態に。そんな中、ジョディは昨年1月のゴールデングローブ賞で、周りの人には大昔に話していたんですがと、私たちにも教えてくれました。さらに「近頃、セレブたちは自分のプライベートを詳しく話すものなんですね。記者会見とか、香水の発表会とか、ゴールデンタイムのリアリティ番組で」とコメント。そう、時代は変わっているんです! ちなみに、映画プロデューサーのシドニー・バーナードとは08年に破局。今は、デジェネレスの元恋人アレクサンドラ・ヘディソン(写真右)と交際しているみたい。やっぱり、Lの世界は狭い?

☆カミングアウトもインターネット時代へ
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2010年、ラテンの貴公子リッキー・マーティンが、同性婚したパートナーと、代理母出産による双子ちゃんがいると発表したのは自身の公式ホームページ上。今じゃゲイカルチャー大御所のエルトン・ジョンが、その昔自身のセクシャリティを語ったのはローリング・ストーンズ誌でした。以降、雑誌やトーク番組が主流だったカミングアウトもインターネット時代へ突入。昨年は、「カイルXY」のマット・ダラスがツイッターで婚約を報告。YouTube組だと、飛び込み王子こと銀メダリストのトム・デイリー&「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のトロイ・シバン。ふたりとも、もてオーラ出まくりの美形ティーエンジャー。ぜひチェックしてみて。

今やムーブメントとなりつつあるセクシャリティのカミングアウト。次は誰が、どんな風にするんでしょうか? 目が離せません!!

筆者紹介

映画.com編集部のコラム

政氏裕香(まさうじゆか)。アメコミ系やジャンル系映画を中心に美男美女探しに夢中。最近にやけ顔がとまらないのは、「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメと「ブラックパンサー」のマイケル・B・ジョーダン。

 飯田沙野(いいださや)。映画と海外ドラマ漬けの日々を送る映画.com編集部員。コテコテの恋愛映画を愛する絶望的なロマンティスト。

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