コラム:若林ゆり 舞台.com - 第88回
2020年4月10日更新
宝塚歌劇団も、CS放送の専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」(https://www.tca-pictures.net/skystage/)を持っている。3月の東京宝塚劇場での雪組公演「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」は約3分の2がキャンセルとなり、千穐楽公演だけはなんとか上演。その公演は映画館でのライブビューイングをやる予定だったのだが、なんと「タカラヅカ・スカイ・ステージ」でのライブ中継を敢行してくれたのである。最高のファンサービスにファンが感涙したのは言うまでもない。このチャンネルでは過去作品のほか、タカラジェンヌのトーク番組などオリジナル映像も充実している。スカパー!では、4月10日~12日の3日間、無料放送を実施しているので、見てみてはいかがだろう。
また、宝塚は「スカイ・ステージ」のほかに、スマホやPCでいつでもどこでもインターネットで動画配信を楽しめる「タカラヅカ・オン・デマンド」(https://www.tca-pictures.net/vod/)のサービスも。ひかりTV、Rakuten TV、GYAO、J:COMオンデマンド、ビデオパス、Amazon Prime Video、VideoMarketの各サービスで受信可能。こちらでも過去の作品はもちろん、ここでしか見られない映像もあるので、見逃せない。
新国立劇場では、4月10日より期間限定で、過去の公演記録映像を無料でストリーミング配信する「巣ごもりシアター」(https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017336.html)をスタート。まずはオペラ作品から、大野和士芸術監督の第1シーズンより「魔笛」「トゥーラントッド」「エウゲニ・オネーギン」を1週ごとに配信する。
動画配信サービスでは、演劇作品に特化したオンデマンド「観劇三昧」(https://v2.kan-geki.com)にも注目したい。ここでは、全国404劇団の約1400作品を月額950円(IOSアプリ内定期購読は955円)で見放題できちゃう。小劇団・小劇場のファンなら、気軽に試し見できるのがうれしいところ。
多くの2.5次元作品を手がけるネルケ・プランニングも、各配信サービスを通して舞台映像を配信。それぞれの作品がどのサービスで、いくらで視聴できるかは、公式サイトの「配信ページ」(https://www.nelke.co.jp/delivery/)で確認できる。
このほかにも、人気の演劇作品をラインナップしていることで知られるBS放送の「WOWOW」(https://www.wowow.co.jp)は外せないし、舞台作品を公開したり、出演者が生放送でイベントを行ったりする「ニコニコ動画」(https://www.nicovideo.jp/)も要チェック。俳優たちのYouTube活動、Instagramのインスタライブ、LINELIVE、Facebookの動画ライブなどもこまめに探してみよう。企画からオーディション、稽古まですべてをテレワークで行う「劇団テレワーク」(https://youtu.be/FQdxAJxcIgs)や、LINELIVEを使った配信型演劇フェスティバル「OHINERI」(http://officeendless.com/sp/ohineri/)など、この苦境だからこそアイディアを懲らした新しい企画も生まれている。
舞台の魅力は、劇場へ出かけていって体感する生(ナマ)の醍醐味。しかし、出かけられないのであれば、映像でウォーミング・アップしながら再び観劇できる日を待つしかない。映像の中の舞台にも、意外に新たな発見や感動が待っているかも……!
筆者紹介
若林ゆり(わかばやし・ゆり)。映画ジャーナリスト。タランティーノとはマブダチ。「ブラピ」の通称を発明した張本人でもある。「BRUTUS」「GINZA」「ぴあ」等で執筆中。
Twitter:@qtyuriwaka