山下真司、ラグビー未経験からの「スクール・ウォーズ」出演を振り返る
2016年8月31日 08:00
[映画.com ニュース] 1984~85年に放送されたスポ根ドラマ「スクール・ウォーズ」のブルーレイ、「泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ Blu-ray BOX」の発売を記念し、主人公・滝沢賢治を演じた山下真司が当時を振り返った。
ノンフィクション「落ちこぼれ軍団の奇跡」(馬場信浩著)を題材に、校内暴力で荒れる川浜高校に教師として着任したラグビー元全日本代表の滝沢賢治が、幾多の困難に立ち向かいながら学園を廃校から救い、無名の弱小チームだったラグビー部を全国大会に導くまでの道のりを描く。
当時、若手スターを次々と輩出していた「太陽にほえろ!」を卒業後、山下にとって初の主演作としてオファーを引き受けたが、ラグビーは未経験だった。「全く知らなかったんですよ。あんな楕円形のボールなんて蹴ったことがなかったのに、タイトルバックでいきなり蹴らされて(笑)。あとはタックルもやりました。ぶつかっていく相手は体のデカい外国人の方ですよ。だから、すごく怖かったです。ケガしそうだな……と思っていたら、本当に首を痛めました(笑)。タイトルバックだけでそんな感じですから、本編の撮影はもっと大変になるだろうと覚悟しましたね」
賢治の役作りについては「毎日撮影の分量も多かったので、計算して演じるような余裕はなかった」という。「そもそも教師なんて自分の柄じゃないと思っていたし、それこそタックルじゃないけど、まさに体当たりで演じたという印象ですね。ただ『熱い芝居』っていうのも大変なんですよ。本番の前のテストの段階から声を全力で出したりすると、本番では出なくなってしまう。だからテストでは少し抑え気味にすることもありました。泣くシーンも、初期は苦労していた気がしますね。でも不思議なもので、そのうち自然に泣けるようになっていったんです。なんせ、当時は一日の半分以上を滝沢賢治として生きていましたから……」
部員を殴るシーンでは、当時の視聴者にも衝撃を与えた。「うまく実話とフィクションのバランスが取れていましたよね。大映テレビの作り方は劇画タッチだから、正直言うと『ここでこんなセリフ言うかな?』と思うようなときがある。でも、よく考えてみたら、案外そういうセリフがドラマの核心を突いていたりするんですよ。それと、この一連の展開に関して言えば、コミュニケーションの大切さを訴えていると思うんです」
そして、「賢治のやったことを暴力と捉えるか、愛情と捉えるか。賢治はかなりの覚悟を持って、みんなを叱った。だからこそ、このときの悔しさが、後に川浜高校が強くなっていく原動力となったんです。政治の世界にも教育の現場にも、少々批判されても体を張って、一緒に汗をかいたり涙を流したりするリーダーというのが、必要なんじゃないかな。特に今の日本では、滝沢賢治というか、そのモデルになった山口(良治)先生のような方が減ってきたようにも思えるんです」と持論を語る。
後世に残る名場面の数々を生み出し、山下にとっての出世作となった。「番組が終わってからも、熱い役をいただくことが多いですね。本当は全然、そんなことないんだけど(笑)。ただ、この作品が自分のバイブルだとか、人生を変えてくれた、なんていう話を聞くと素直にうれしい。本来、ドラマの役割のひとつは、そういうことだろうと思うし。だから、ファンの方々のイメージを壊さない自分でありたいというのは、今もずっと思っています。それこそ、悪いことをやって捕まったりしたら最悪だよ(笑)。もちろん、そんなことはしませんけど」
「泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ Blu-ray BOX」通常版(税別3万3600円)、豪華版(税別4万2000円)は9月7日発売。
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