タイの国民的物語を映画化「メナムの残照」監督、「いつか日本人俳優とタイ女優で」の声に笑顔
2014年10月24日 18:15
[映画.com ニュース] 第27回東京国際映画祭に新設されたCROSSCUT ASIA部門に選出された「メナムの残照」が10月24日、会場となる東京・六本木ヒルズで公式上映された。メガホンをとったキッティコーン・リアウシリクン監督とヒロインを演じたオラネート・D・カベレスがティーチインに臨んだ。
同部門の今年のテーマは、「魅惑のタイ」。タイの国民的物語を映画化した今作は、太平洋戦争時のタイを舞台に、日本人の軍人とタイ人の女性とのロマンスを描いたラブストーリー。女性作家トムヤンティー氏が1960年代に発表した小説で、映画化は本作で4度目となり、同国では知らない人がいないほど認知されている物語だ。1942年、バンコクに駐留しビルマへの行軍を待つ日本軍の海軍少尉・小堀(ナデート・クギミヤ)とタイ政府高官を父に持つ美しい娘アリスマン(オラネート)は、日タイの友好の証として結婚することになる。
映像化されるたびに旬のスターが起用されてきた同物語だが、今作で銀幕デビューを飾ったオラネートは「永遠のベストセラーなので、緊張しました」。キッティコーン監督は、小堀を演じたタイのスーパースター、ナデートについて「タイ人が日本人を演じることをどう思いますか?」と観客に逆質問。「やはり違和感があるんです。でも撮っているときはまさか日本で上映されるとは思っていなかったので(笑)」と会場の笑いを誘い、観客からの「いつか日本俳優とタイ女優で同作を見たい」との要望に、笑顔を浮かべていた。
また、日本俳優とタイ俳優の違いについて聞かれると「はっきり違います。日本人は時間に正確で、責任感が強く、常に努力している。タイ人はその日の気分でバラつきがあります」とおどけてみせたが、共通点を「芸術に対する見方は似ています。アジア人は同じ目標に向かって仕事をするという姿勢がある」と語った。
過去に「ゴール・クラブ」(2001)が同映画祭コンペティション部門に出品され、新しいタイプの映画や新世代を支援する姿勢に感動したというキッティコーン監督は、「タイにはその姿勢が欠けています。釜山国際映画祭が台頭してきましたが、日本も文化を取り戻している時だと思います。あと10年経ってどうなっているのか楽しみです」と、アジアの映画界の発展に期待を寄せた。
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