市川崑監督の思い出語った岸惠子、自著の映画化にも意欲
2014年3月28日 13:50

[映画.com ニュース]4月5日から始まる「第二回 新・午前十時の映画祭」の開催記念試写会がTOHOシネマズ日本橋で3月27日行われ、この日上映された市川崑監督の「細雪(1983)」に主演した岸惠子が、巨匠との思い出を語った。
市川監督との出会いは、1956年の日仏合作映画「忘れえぬ慕情」の京都での撮影中、岸が滞在していたホテルを市川監督が直接訪れ、「これはあなたしかできない映画です」と「おとうと」の脚本を託したことがきっかけだったという。
その後も市川監督の作品にはいくつも出演しているが、「細雪」については「ちょっとミスキャストだと思うけど」とオファー時に言われたという。その理由は、もともとは山本富士子が演じる予定だったからだそう。岸自身も「私は船場言葉は話せないし……」と同作の長女役を演じることに自信がなく、「こんにちは」のセリフ一言で何度もNGが出たとのこと。しかし、撮影後は市川監督から「あんたの着物の着方がだらしなくてよかった」と、当時の生活感を出すために着崩した着付けを褒められ、作品が出来上がった時には「『ミスキャストだと思っていたけど良かったね』と言われ嬉しかったです」と述懐した。
今後の女優業については、「パリ帰りの○○みたいなのはうんざり。あと、権力にこびたりする役はやりづらい。バカみたいでコミカルな女をやってみたい」と新境地に意欲を見せる。精力的に執筆活動も行っているが、「『わりなき恋』を映画化したい」と昨年発表した恋愛小説に、シニア世代の男性読者から多くの反響があったことを紹介する。「もちろん主演は岸さんですよね?」と司会に振られると、「私は監督したい。主演は若くてきれいな人がいい。私はシワもシミも白髪も売るほどあるので」と謙遜しながらも、自著の映画化に意欲を見せていた。
2010年から始まった「午前十時の映画祭」は、4年間の通算累計動員が約220万人と、全国の映画ファンからの支持を獲得している。これまでは往年の名作洋画を上映していたが、今回「細雪」をはじめとした日本映画の名作がラインナップされることについては、「フランスでは、映画は文化を象徴するものだから、国の財産とされています。このような映画祭で私の好きな『恐怖の報酬』『第三の男』などの名作と『細雪』を一緒に上映して頂いて本当に嬉しいです。映画や文学のない国に文化国家なしです」と力強く語った。
「第二回 新・午前十時の映画祭」は4月5日からTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国52劇場で開催。
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