「館長 庵野秀明 特撮博物館」開幕、「巨神兵東京に現わる」全ぼう明らかに
2012年7月9日 15:30
[映画.com ニュース] 最新作「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の公開日が明らかになったばかりの庵野秀明が“館長”を務める、「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」のプレス向け内覧会が7月9日、東京・江東区の東京都現代美術館で行われた。日本のお家芸ともいえる“ミニチュア特撮”の魅力を多角的に紹介する展覧会。その“目玉”といえるスタジオジブリ最新実写短編映画「巨神兵東京に現わる」がお披露目され、CGを一切使用しない特撮映像の完成度に取材陣からは感嘆の声がもれた。
庵野が企画を手がけ、“博物館副館長”である盟友・樋口真嗣監督がメガホンをとった本編は上映時間9分3秒。宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」に登場する巨神兵が東京上空に飛来するオープニングから、ついに地上に舞い降り、口から発射するプロトンビームで東京の街を燃やし尽くす怒涛(どとう)のスペクタクルを展開する。東京タワーやビル群の崩壊、増上寺の炎上、爆風でめくれ上がる商店街など、すべてのシーンをミニチュアセットで撮影。さらに火の海と化した市街地を、光の槍を手にした無数の巨神兵が降臨し進軍するクライマックスは、「風の谷のナウシカ」で語られる“火の七日間”を彷ふつとさせ迫力満点だ。「エヴァンゲリオン」シリーズの声優・林原めぐみによる不穏なナレーションも、“世界の終わり”を象徴的に印象付けている。
開会式には庵野と樋口監督に加え、企画制作協力を務めたスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが出席した。庵野は「僕の思いつきが樋口監督のおかげで、すばらしい作品に仕上がった。樋口に頼んで良かった。よくできました。ありがとう、しんちゃん!」と大満足の様子。今回の企画について「ミニチュア特撮の現状に危機感があったが、自分ひとりではどうにもならないと思い、鈴木プロデューサーに相談したのが幸いした。本当の功労者は鈴木さんです」と開催に至った経緯を説明し、「画面の枠の外側にある面白さが詰めこまれている。特撮は日本が誇る技術です。ぜひ自分の目で見て感じてほしい」と熱弁した。
また、鈴木プロデューサーは「まだ宮崎駿は短編を見ていません。部屋に貼ったポスターを3回くらいわざと無視した後で、クスっと笑ったのでとりあえずOKということだと思う。自分が生み出したものを、他人が映像化するのは作家にとっては嫌なこと。今は(宮崎監督に)どう見せるか考えている」と巨神兵“生みの親”の胸中を代弁していた。展覧会では、怪獣映画、SF映画、戦争映画、さらにヒーローが活躍するテレビ番組などで使用された貴重なミニチュアやデザイン画など約500点を一堂に展示。また、「特撮美術倉庫」や「ミニチュアステージ」など、映画製作現場をイメージしたスペースを作り、ミニチュア特撮の魅力に迫る。
「館長 庵野秀明 特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」は7月10日から10月8日まで東京都現代美術館で開催される。
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