阿部寛「カラスの親指」映画化主演で詐欺師に
2011年10月17日 05:00
[映画.com ニュース] 20世紀フォックスが直木賞作家・道尾秀介の代表作を映画化する「カラスの親指」(伊藤匡史監督)に、阿部寛が主演することがわかった。阿部は、主人公の詐欺師・武沢竹夫に扮する。また、共演に石原さとみ、能年玲奈、小柳友、村上ショージという個性豊かな面々が結集した。
主人公は、人生に敗れて詐欺を生業(なりわい)とする中年の2人組、タケ(阿部)とテツ(村上)。そんな2人が暮らす古い一軒家に、美人姉妹(石原&能年)と姉の恋人(小柳)、そして子ネコのトサカが舞い込んで奇妙な共同生活が始まる。不運に見舞われ続け、どん底の人生をおくってきた5人は、自らの過去と決別するため、それぞれの思いを胸に大計画の実行を決意する。
詐欺師役を演じた阿部は、撮影現場を振り返り「監督のこだわりが尋常ではなかった。編集の段階でさらにこだわると思うので、どんな作品になるか楽しみです。正直、すごく期待していますよ」と手ごたえを感じている様子。どのカットも手を抜かず、テイクを重ねることをいとわなかったそうで「役者の芝居をきっちり見てくれる。これだけ時間を考えないで撮影できる作品は、今どきない。貴重な時間だった」と絶大な信頼を寄せる。
一方の伊藤監督は、「必死なだけです」と苦笑い。それでも、阿部に対して「私が20年間で出会った役者さんの中でも、最もストイックに役者という仕事に打ち込んでいる希有な方だと思いました」と最大級の賛辞をおくる。さらに「とにかく、どこまでも手を抜かないんです。そんな方が相手なので、僕もヘトヘトでした(笑)」と述懐した。
主要キャスト5人の組み合わせは異色ともいえるほど、これまでのキャリアは千差万別。石原は髪をセミロングに、小柳は体重を10キロ増量して撮影に臨むなど、意欲的な役作りに励んだ。阿部は、「こんな強烈な5人がひとつの家に住むっていうのもね(笑)。ひとりひとりがかなり突飛なキャラクターだったから、それがまとまって芝居をしていくのは楽しかったですね」と現場での一体感を強調している。
8月16日にクランクインした今作は、ハリウッドメジャー、20世紀フォックスの本格邦画プロジェクト第2弾。2年越しの企画を実現させ、9月下旬に撮了した同社は「震災から半年以上が経ちましたが、今日も復興のために日本中で頑張っている人たちがいます。大きな困難にも負けない心が、人に勇気と感動を与えると信じて、2012年にこのエンタテインメントをお届けします」と強い覚悟をにじませるコメントを発表した。
「カラスの親指」は、2012年秋に全国で公開。