反骨の鬼才アレックス・コックス健在!「サーチャーズ2.0」
2009年1月9日 12:00

[映画.com ニュース] 「シド・アンド・ナンシー」や「ウォーカー」といった過激な作品で知られるイギリス・インディペンデント映画界の雄、アレックス・コックス監督の最新作「サーチャーズ2.0」が今週末より日本公開となる。タイトルを見ても分かる通り、巨匠ジョン・フォード監督の傑作西部劇「捜索者」(56/原題:The Serchers)をベースにした作品だが、そこは反骨の鬼才コックス。単なる西部劇へのオマージュにはなっていない。
本作の主人公メルとフレッドは元俳優の中年男。ひょんなことから知り合った2人はお互いが子役俳優だったこと、そして子役時代にフリッツ・フロビシャーという脚本家から虐待を受けていたことを知り意気投合。そのフロビシャーがサイン会を開くという西部劇の聖地モニュメントバレーへ復讐の旅に出るが……。
「この映画は“復讐”を描いてはいるけど、わざと曖昧な復讐劇にしてある。それは現実のアメリカ合衆国の状況を反映してのものなんだ。9・11以降の合衆国は、国外では復讐の名の下に、石油をはじめ、あらゆるものを略奪している。一方、国内では物価上昇や住宅ローンの問題などで貧富の差がますます拡大し、経済的にはほぼ崩壊している。そしてそのツケを貧乏な我々が払わなくてはならないんだ。そういった意味で復讐という概念を持ち出すことがいかにナンセンスかということを描いたんだが、それを直接言いたくはなかった。そこでコメディという形を採ってあるんだよ。アメリカでは、私のような外国人監督が主張したところで誰も聞いてくれないので、ソフトでまわりくどいタッチで声を届かせる方が有効なんだよ(笑)」
劇中ほとんどが、目的地へ向かう道中を描いたロードムービーになっている本作だが、西部劇ファンのコックスはラストでマカロニ・ウェスタンの傑作「続・夕陽のガンマン」を彷彿とさせる三つどもえの決闘シーンを登場させた。
「この映画では西部劇そのものではなく、西部劇というフォーマットがどのように亡霊化していったかを描いたつもり。西部劇に対して何の興味もない80年代以降に生まれた若い人たちの気持ちを代弁させるためにメルの娘のデライラを旅に同行させたんだ。でもラストはマカロニ・ウェスタンのマスター、セルジオ・レオーネにオマージュを捧げた。実はあの三つどもえの決闘シーンは『続・夕陽のガンマン』ではなくて『夕陽のガンマン』へのオマージュなんだ。多くの人は『続・夕陽のガンマン』の方が好きみたいだけど、僕は『夕陽のガンマン』の方が好きなんだ。文句のつけようのない映画って滅多にないけど、『夕陽のガンマン』はまさにそれで、どこをとっても完璧なんだよね(笑)」
1月10日より渋谷アッブリンクXほかにてロードショー。
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