劇場公開日 2023年10月13日

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「「見えない」と「見ない」は違う!」月 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「見えない」と「見ない」は違う!

2024年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

公開から随分経って、やっと観れた本作。

相模原障害者施設での大量殺人事件を下地にした話なので
観ていて心が苦しくなりそうですが
そこは映画なので、主演の宮沢りえと
オダギリジョーが演じる夫婦の
ささやかな幸せへ焔を消さない様に無くさない様に
丁寧に丁寧に優しさのステップを
重ねて行くシーンがとても心に残りました。

で、なんと言っても、磯村勇斗!!
優しい青年が少しづつダークサイドに落ちてゆく〜〜
こ〜〜〜わ!!

多分、配信とかで観ると逃げ出したくなると思います。
こういう映画こそ、ぜひ、映画館で!!

で、月に8回ほど
映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては

映画的に、この障害者施設が、
ヘビが出る様な深い森の中の安物のオカルト廃病院とか
捕虜収容所跡みたいに描かれていることが
ちょっとやりすぎ感があった。
それは、世間の人々つまり「私たち」が目を向けない事、
「私たち」に見せない様にしている事の象徴だとは
理解しているのですが、とても怖い、とても悪い場所
という感じを強調し過ぎててちょっとなんだかな〜〜
と思いました。

事件自体が悲惨だし、実際、意思疎通ができない障害者も
「私たち」が知らないだけで実は沢山いるのかもしれない。
そういう人たちと日々接する施設の職員の人々が
「自身の心を守る為」に「障害者を人として見ない」様に
一種の「鎧」を心に付けるのかもしれない。

その実情を「見もしない私たち」が職員の人々を批判なんか出来ない。

でも、もちろん他人が勝手に殺して良いはずも無い。

そんな重い重い映画でしたが、あえて
この作品を作られた皆さんに感謝と敬意を捧げます。

こういう映画は海外でもあるでしょうか?
こういう映画に英語字幕を付けて海外で上映して
海外の反応が知りたいと思う。

星のナターシャnova