「改めて、「タランティーノ」という人物そのものが映画的で、面白すぎることが分かる一作」クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男 yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
改めて、「タランティーノ」という人物そのものが映画的で、面白すぎることが分かる一作
特定の人物を題材としたドキュメンタリー作品は、その多くが観るに十分値することは分かっているものの、時折鑑賞をためらいがちに…。というのも、劇映画のように話の筋が明確でないことがしばしばあり、そうなると今作品全体のどのあたりを観てるんだろう、と気になって、上映時間以上に時間を長く感じることがあるためです。また取り上げている人物に対して、様々な関係者が賛辞を並べる、という描写もちょっと辟易しがち…。
その点、本作はタランティーノ監督の作品を時系列順に並べる、という明確な構成となっていて、しかも作品の撮影風景をふんだんに盛り込んでいる上、関係者の証言がどれも本当に面白い!すでに鑑賞した作品であれば、あの場面はこうやって撮ったのか!とか、この映像にはこんな意味が!と驚くこと間違いないです。
未見の作品であっても、極度のタランティーノ嫌いでなければ(そもそもそんな人は本作を観ないでしょうが)、鑑賞後すぐに観たくなることもまた、請け合いです。
「映画の寵児」と多大な名声を獲得した彼の経歴に大きな影を落としている、元プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインとの関係についても取り上げている点も評価したいところ。もっとも本作で言及したことで、タランティーノ本人の不作為の責任を多少なりとも免じることができるか、といえばそれは別問題だけれども。
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