シック・オブ・マイセルフ

劇場公開日:

シック・オブ・マイセルフ

解説

強烈な承認欲求に取りつかれた女性の破滅的な自己愛をシニカルかつコミカルに描いた北欧発の寓話的ホラー。

ノルウェーの首都オスロ。人生に行き詰まっている女性シグネは、長年にわたり競争関係にあった恋人トマスがアーティストとして脚光を浴びたことで激しい嫉妬心と焦燥感にさいなまれる。シグネは自身が注目されるための「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出してしまう。薬の副作用で入院することになり恋人からの関心は得たものの、シグネの欲望はさらにエスカレートしていき……。

主演は「ホロコーストの罪人」のクリスティン・クヤトゥ・ソープ。本作が長編第2作となる新鋭クリストファー・ボルグリが監督・脚本を手がけた。

2022年製作/97分/PG12/ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フランス合作
原題:Sick of Myself
配給:クロックワークス
劇場公開日:2023年10月13日

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第75回 カンヌ国際映画祭(2022年)

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(C) Oslo Pictures / Garagefilm / Film I Vast 2022

映画レビュー

4.0バカカップルのチヤホヤ獲得レース!

2023年10月31日
PCから投稿

思っていた以上にコントだった。SNSでバズりい!みたいなレベルの話でなく、バカなカップルがどっちが目立つか、チヤホヤされるかのマウント合戦を始めたら、競争ばかりがエスカレートして、もう周りは見向きもしなくなってるんだけど、気がついたら超お似合いのカップルだったみたいな。こういう関係性が不健全なのはよくわかるが、かといって不健全な関係だからやめろというのは他人の勝手な説教であって、結果、割れ鍋に綴じ蓋だけど似たもの同士でお好きにどうぞみたいな話もあっていい。承認欲求がテーマであることは間違いないが、もっと根深い依存と共依存の寓話としてとても面白くみた。こういう皮肉に満ちた話はただ意地悪に撮られると気分が悪くなるだけだったりするが、いい距離感といいセンスの監督なんじゃないかな。

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村山章

3.5現代人にとって決して他人事とは思えない突き抜けた異色作

2023年10月29日
PCから投稿

ノルウェーから届いたこの異色作の主人公は、「私に注目して!」という思いが誰よりも強く出てしまう人。それゆえ恋人や友人らが注目を集めているだけで気に食わないし、どんな手段を使ってでも望み通りの境地に立とうとする。すなわち、本作のテーマは現代人の多くが身に覚えのある「承認欲求」について、ということになろうが、しかしそこから予想されるSNSの承認機能を使った「いいね」合戦には決してならない。あくまで現実社会を舞台に、顔と顔を合わせた場所で「もっと!もっと!」が発動していくのが面白さというか、事態の深刻さというか。この自我の暴走ぶりや自己破壊を不快に感じる人もいるかもしれないが、でも危ない橋をどこまでも渡っていくヒロインの突き抜け方やその代償、決して安易に人を糾弾するような展開には陥らない構成、小気味良い会話のテンポ感を失わない脚本の妙なども相まって、興味深い”人間探求”的な一作に仕上がっている。

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牛津厚信

3.5サイコホラーでブラックコメディ

2023年10月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

怖い

SNSと動画共有サービスが普及して以来、過剰な承認欲求や自己顕示欲に対する風刺は映画やドラマでたびたび扱われてきたが、本作の女性主人公シグネほど強烈なケースは滅多にお目にかかれない。

周囲の関心や同情を引くために病気を装ったり自らの体を傷付けたりするのは、「ミュンヒハウゼン症候群」と呼ばれる精神疾患。シグネの場合、副作用で皮膚病になるのが確実なロシア製の抗不安薬を飲み続け、服用の事実を隠して「原因不明の難病を患ったが健気に闘病している自分」をアピールし、歯止めがきかなくなっていく。

オスロを舞台にした若い女性の生き様という点で「わたしは最悪。」に似ているなと思いながら観ていたが、鑑賞後に当サイトの矢崎由紀子氏の評論から、製作会社も同じだと知った。ノルウェーのOslo PicturesとスウェーデンのFilm i Vastが共通しているようだ。この手の話が北欧の映画界で近年のトレンドなのだろうか。2作品の空想や幻覚のシーンの使い方にも類似性を感じた。

監督・脚本のクリストファー・ボルグリはこれが長編第2作。1作目の「DRIB」(2017)は日本未公開ながら、予告編を見たらかなり面白そう。配信で鑑賞できるようになるのを願いつつ、次回作も大いに期待。

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高森 郁哉

4.0観て、考えることに意味のある映画

2024年3月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

怖い

笑ってしまうほどに現代人(と括るのもあまり良くない気もするが)のイヤな部分をこれでもかと見せうけられ冒頭から胸糞ブースト全開。だが見続けているうちに「今したいことをしている」という刹那的であっても素直で正直な主人公の生き方がどこか羨ましくも思う。この世の中に正しいことでは決して無いが、重大な犯罪とされることはせずに自分のなりたいように(未来への想像力の欠如、モラルに反していることには不快感がハンパないが)しているところは尊敬するレベルだ。
現代において、いかに注目されるかをアイデンティティにしていたり、したいと思っていなくても無意識下でそれに縋っていることは誰しもあると思う。それは悪ではなく、自覚することが出来るかできないかが重要だ。良くも悪くも人は独りで生きることは難しいし、何かに所属しているという実感こそがアイデンティティを形成する一つとなるのか。

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ezio
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