「セリフ過多と他人への強要はちょっと……」しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司 コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0セリフ過多と他人への強要はちょっと……

2023年8月26日
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やや怪獣映画のフォーマットを意識しながら、オーソドックスなクレしん映画には収めて作っているように装っていたが、セリフ過多が気になりました。

本作は、TVドラマ出身の方に多い「わかりにくいところは全部セリフ説明が親切なわかりやすさ」と誤解したようなところが多々あって。
実はあまり名言を言ってないのに、SNSで妙に煽てられた父ちゃん(野原ひろし)に、名言っぽいことをやたら言わせたがったし。

映画クレしんは、セリフで感動させるのではなく、しんちゃんの大人が忘れていた純真な心と、大人より大人な優しさからくる「行動」と「子どもにも理解できる短いメッセージ」で感じさせるイメージが、個人的には強い。
それはおそらく、(本郷・原・水島・ムトウら:敬称略)歴代監督たちの、子どもを子どもとしてよりも、ちゃんと人間として扱い、面白いものを提供しようという真摯な姿勢から来ていたように思っていました(勝手な個人のイメージですけども)。

だから、しんちゃんって映画ではいつも「がんばれ」はたいてい自分にしか使わない。
たまに他人に言うのは、重くない場面で両親やかすかべ防衛隊へ冗談交じりで。
本作みたいに、がんばれなくて悩んでる青年に、がんばれを執拗に強要するキャラじゃないと思うんですよね。
だったら、自分ががんばる姿を見せて、自発的にがんばりを引き出すのがしんちゃんではないでしょうか?

また、3D CGアニメにしたメリットがあまり感じられなかったのも、ちょっと残念。
本作監督は、実写ドラマで俳優の存在感やイメージを活かした作品作りに向いていて、あまりアニメーションには……と思ってしまいました

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コージィ日本犬