劇場公開日 2023年12月15日

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「エメット・ティル反リンチ法が成立したのは事件の67年後というのに驚き」ティル ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5エメット・ティル反リンチ法が成立したのは事件の67年後というのに驚き

2024年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

この映画で取り扱われている事件が起きたのは1955年。実話です。

事件を映画的な見せ方をしているとは思うものの、
事件の悲惨さは十二分に伝わってきましたし、
当時のミシシッピ州における人種差別の酷さも、まざまざと見せつけられました。

子を亡くした母である、本作の主人公を演じたダニエル・デッドワイラーの
熱演には胸が熱くなりましたし、その後の活動にも不屈の精神を感じ胸を打たれました。

それにしても、この事件が起きてから反リンチ法が成立するまでに67年を要していることが
人種差別問題の根深さを感じますし、
ここ数年で「多様性」が映画でもよく扱われるようになりましたが、
そうそう簡単に解決する問題ではないなと率直に思いました。

なぜ、解決しないのか、、、は、昨年公開の邦画『月』が核心をついていると思います。
人間の本音と建前の自問自答を迫られる作品ですが、
人間の先入観(育った環境や教育も大いに関係していると思います)は、
そう簡単に払拭されるものではないと、あらためて気づかされ、考えさせられました。
本作もそこに思い至った次第です。

ひでちゃぴん