劇場公開日 2022年11月11日

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「ルディ・サーゾの自叙伝『オフ・ザ・レイルズ』とニコイチ?夭逝したギターヒーローの生き様に迫るドキュメンタリー」ランディ・ローズ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ルディ・サーゾの自叙伝『オフ・ザ・レイルズ』とニコイチ?夭逝したギターヒーローの生き様に迫るドキュメンタリー

2022年12月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

類稀なギタープレイで絶大な人気を博しながら25歳の若さでこの世を去ったギターヒーロー、ランディ・ローズの生涯を追ったドキュメンタリー。事故に遭うまで参加していたオジー・オズボーン・バンドの全米ツアーでのランディに関する逸話は盟友ルディ・サーゾの自叙伝『オフ・ザ・レイルズ』で詳しく描かれていますが、本作のメインパートはオジー・バンド参加以前のアマチュア時代とクワイエット・ライオット在籍時のエピソード。家業の音楽学校でギターを教わるもあっという間に先生を追い越してしまった話やバンド名の由来は聞き間違いだったこと、ギター講師となったランディに生徒達が教えて欲しいと頼んでくるのがクワイエット・ライオットと人気を二分するライバル関係にありながら先にデビューを果たして世界的なバンドになってしまったヴァン・ヘイレンの楽曲だったという皮肉な話など興味深いネタがランディと親しかった人達から語られるのは微笑ましいですし、今までほとんど聞いたことがなかったランディの肉声やランディが弾く『悪魔のハイウェイ』や『アトミック・パンク』のリフなど耳を疑うような音源もさりげなく流れてくる辺りも圧巻。エディがさりげなくランディのプレイを腐すコメントを残していたりして、エディがかなりランディを意識していた辺りも窺えます。しかし本作の最もイライラするところはクワイエット・ライオットがクラブでの人気にもかかわらずなかなかレコード契約を取れないところ。痺れを切らしたファン達と共にレコード会社に対してデモを起こすくだりはランディの事故死の翌年にようやく全米デビュー、同年にスレイドのカバー曲『カモン・フィール・ザ・ノイズ』で大ヒットをものにするバンドの未来を知る者には余りにも皮肉です。

本作に登場するケヴィン・ダブロウ、フランキー・バネリ、エディ・ヴァン・ヘイレン、ゲイリー・ムーアといったレジェンドも他界してしまった今、ギラついていた80年代のLAハードロックの栄光が今や風前の灯火となっている感があることに激しい寂寥感を抱きます。

ということで本作鑑賞と併せて『オフ・ザ・レイルズ』を読むのがオススメです・・・というレビューを書き終わった今日はランディの誕生日であることにビックリしています。

よね