劇場公開日 2022年8月6日

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「ドラマ+ドキュメンタリー+本人主演=とにかく新感覚」とら男 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ドラマ+ドキュメンタリー+本人主演=とにかく新感覚

2022年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 1992年9月30日、殺害推定時刻19時45分。遺体が発見されたのは金沢市三十刈。その頃医療関係の仕事をしていた私kossyは、隣町くの医院にて院長と1時間以上話し込んでいた。現場近くにいたので、いつ自分のところに事情聴取が来るかとヒヤヒヤしていた。結果・・・全く来なかった。まぁ、建物内にいたから何の目撃も出来ませんでしたがね・・・でも、近くで殺人事件が起こっていただなんて信じられないほどでした。

 映画は、事実を基にした新しいスタイルであるドラマドキュメンタリー(そんな言葉ある?)。とにかく本人役で出演している西村虎男さんの眼孔の深さだとか、70歳くらいの彼の皺から滲み出る経験値。金沢弁丸出しのひと言ひと言に重みがあった。また、警察用語の「帳場」だとか、調査方針などの詳細は興味深かった。

 東京の女子大生・梶かや子が生きた化石メタセコイアに興味を持ち、卒論のテーマに選び、研究のため金沢を訪れる。あるおでん屋でとら男と出会い、未解決事件に興味を持つ・・・といったドラマ仕立て。そこで西村虎男の実家に帳場を立て、市内の人たちにインタビューを始めるのだ。いわば時効警察?

 最初宿泊していたのがホテルシャンテ。それってラブホでは?などと、懐かしくもあり、そこから金沢へと向かうだが、メタセコイア並木道があるのは金沢市太陽が丘。『冬のソナタ』の有名スポットそっくりになるので、秋にはソレ目的で訪れる人も多い。何だか金沢観光映画のようでもあるけど、観光スポットは特に出てこなかった。スーパーのひまわりチェーンが結構雰囲気良かったなぁ。

 犯人の目星はついている!などと、真相に迫るような描写もありましたが、結局は警察組織の矛盾もあり、担当を外されたとら男が嘆くように呟く。その点で、実際の元刑事(?)の言葉で「真犯人は自責の念にかられながら一生を終えるがよい」と言ったことも印象に残る。犯人はまだのうのうと生きている!殺人罪の時効は迎えたが、刑事の執念、そして虚しさを感じざるを得ない。そんな映画でした。

kossy