劇場公開日 2022年8月11日

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「母親を慕う気持ちはなくならない」ぜんぶ、ボクのせい chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0母親を慕う気持ちはなくならない

2022年8月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

児童養護施設に措置されている子どもたちにとって、毎日世話をしてくれる保育士さんや児童指導員さんは「みんなの親代わり」ではあるけれど、子どもたちの多くは個々に自分の本当の親についての思い(いつかは迎えに来てくれる)を持っている  この主人公の少年も本当の母親にそういった思いを抱いているところから話が展開していく  どんな背景があっても、自分の母親を信じたくなる思いは、現実をみてしまっても、あのミサンガを簡単には捨てられなかったのだろう  最初は警戒していたオダギリジョー演じる坂本に対する表情が、信頼にも近いような表情に変わっていく  あんな不法行為を手伝わせられても彼に心を許す  自分だけを受け入れてくれる存在が、子どもにいかに必要か、そして子どもの人格を作っていくことを描いている  自分だけをみつめ、話を聞いてくれ、一緒に時間を過ごしてくれること、親子に限らず人間同士の関係を育む大事な要素・要件である 恵まれているであろう女子高生詩織に宿る空虚さは、主人公優太と共通しているものを感じる  最後の警察の対応はあまりにもひどいものであるが、実際にああいった取り調べはないとしても、ホームレスにかかわる事件の扱いをあらわしているようでつらく感じた(8月18日 テアトル梅田=30年の歴史も、来月閉館、にて鑑賞)

chikuhou