劇場公開日 2022年7月8日

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「とても短いが幸せな人生だったと思います」アルピニスト penさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0とても短いが幸せな人生だったと思います

2022年7月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

もう時効だと思うので、書きますが、若いころ、「絶対に一人で登攀してはならない」と登山案内書に当時書かれていたジャンダルムという北アルプスにあるドーム型の岩稜に、一人でとりつき、絶壁の真ん中あたりで、ルートを見失って立ち往生した経験があります。当時はヘルメットもザイルも装備しておらず、縦走用の大きなリュックを背負っていたこともあり、「あーおれ死ぬな」という恐怖を生まれてはじめて感じたのですが、同時に感じたのは、矛盾するようですが、「生きている」という強烈な幸福感でした。

私の経験など、この映画の主人公の経験に比べれば、月とスッポンですが、私にはこの映画の主人公が、何故命綱をつけずに岩稜を登るのか、スポンサー契約を結んだ企業側のあいそ笑いの撮影に嫌気がさして、あえて行方不明状態にして寸暇を惜しんで山歩きを楽しんだのか、何故有名になることに無関心なのかが、よくわかる気がします。社会的には失格者かもしれませんが、彼は自分の人生を自分の生きたいように生き、束縛から解放された自由な状態で、自分の人生を全うしたのだと思います。

短いが幸せな人生に、乾杯。そして合掌。

pen
penさんのコメント
2023年5月17日

Mさん、コメントありがとうございます♪ 本格的ですね。私は沢登りは実は経験ありません。今思うと単に無謀だったんですね。世間の評判を気にしないのは、私も羨ましいと思いました^_^

pen
Mさんのコメント
2023年5月17日

penさんの体験とはかなり規模が違いますが、ある山で、岩登りの経験もないまま、一人で沢をつめていて、引くに引けなくなり、そのまま登り続けた経験を思い出しました。ちょうどpenさん同様に重いキスリングを背負っていて、危険極まりない行動でしたが、登りつめて無事に岩の上に立った時、生きててよかったとしみじみ思いました。
ただ、やはり、「生きて帰ってきて山登りかな」という思いはあります。一方、世間の評判などを全く気にしないその姿は、とてもうらやましくもありました。

M