劇場公開日 2022年9月23日

「誰もが思いあたる夫婦あるある」犬も食わねどチャーリーは笑う おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5誰もが思いあたる夫婦あるある

2022年9月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

今週末公開の作品では特に気になるものがなかったので、タイトルとフライヤーに惹かれて鑑賞してきました。ブラックコメディ作品ということですが、思ったよりも深みのある内容で、なかなかおもしろかったです。

ストーリーは、平和な結婚生活を送っていた裕次郎が、職場で「旦那デスノート」というSNSを見せられ、そこに妻・日和が書き込んだと思われる自分への数々の不満を見つけ、しだいにギクシャクしてきた夫婦関係がどうなっていくのかというもの。タイトルにある「チャーリー」とは、二人が飼っているペットのフクロウの名前であり、それを日和が投稿時にハンドルネームとして使っているところがおもしろいです。また、このフクロウが作中でいいアクセントとなっています。

本作のテーマは、男女の考え方や感じ方の違い、そこから生まれる勘違いやすれ違い、それを回避するための向き合い方ではないかと思います。男女間トラブルは、異性との交際経験のある人なら、誰でも思い当たる節があると思います。それだけに、男性は裕次郎に、女性は日和に、それぞれ共感しながら観ることができると思います。

自分も昔は男女の感性の違いが全くわからなくて、というよりそんなものが存在することさえ知らず、自分のことばかり主張して、相手への配慮を欠いた言動で、数々のけんかやトラブルを引き起こし、関係を破綻させてしまったこともあります。それゆえ、本作の内容は身につまされるものがありました。

では、今ならいつでも相手の気持ちに寄り添った言動を心がけることができるかと問われれば、やはりYESと答える自信はないです。頭でわかっていても、心の正直な反応は止められません。また、相手を気遣ったつもりでも、それが的外れだったり、独りよがりだったりすることもあると思います。だからこそ、相手と向き合って、思いを伝え合うことが大切なのでしょう。裕次郎と日和の姿から、そんなことを感じました。

ただ、ラストのチャーリーの姿から、二人の出した結論は見えましたが、そこに至るコールセンターでのシーンはいささかやり過ぎ感があって、ちょっと醒めてしまいました。ていうか、その前あたりからやや間伸びした印象で、終盤はちょっと蛇足だったように感じてしまったのは残念です。

主演は香取慎吾さんと岸井ゆきのさんで、それぞれ無自覚なダメ夫と不満を募らせる妻を好演しています。脇を固める、余貴美子さん、井之脇海くん、眞島秀和さんらも、いい感じでした。

おじゃる