線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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自分の線で変わり続ける自然に寄り添い描く
湖山先生の印象に残ったセリフです。
自然は、人間の力ではどうにもならないもので、だからそれを描き続けるしかできない。
時に、人間の力では、どうにもできない現実に争うのではなく、寄り添い描くことで、それは自分を描くことになるのではないか…
結局は、目の前にあるものではなく、自分と向き合って自分の中にあるものを描く、そこに辿り着くまでを、じっくりと登場人物の心の変化に寄り添いながら、鮮やかに見せてくれる作品です。
湖山先生の家に出入りし、あらゆる雑用を、やる西濱さんが、鮮やかに龍を描いたシーンも素敵でした。
決して、多くを説明しない、観る側のペースで物語に入り込める、穏やかな作品です。
久しぶりに、墨の匂いを嗅ぎたくなりました笑
モノトーンの世界のパッション
2020年本屋大賞3位となった、砥上裕將氏さんの原作は、既読。コミックにもなって幅広く知られ、愛されてきた作品。但し、映画の実写化となると、美術的にはマイナーのイメージのある水墨画をモチーフに、どのようにスクリーンに映し撮るのか、なかなか難しいと思っていた。
そこを、『ちはやふる』でもメガホンを撮った小泉徳宏監督が、水墨画のモノトーンの世界観の中に秘めた熱いパッションを引き出す描写と、若者の絵師としと、そして人としての成長を描いた感動的な作品として仕上げていた。
モノトーンで、穏やかで落ち着いたイメージの水墨画の世界。しかし、実は研ぎ澄まされた感性と想像力を短時間の中で、画紙に爆発させる描写力が求められる。絵師の熱き情熱がそのまま作品に現れる事が伝わってくる厳しさがある。絵師が、常に描き続け、失敗は許されない緊迫感の中で、白と黒の世界を創り上げるスピード感や迫力に息をのむ。
家族を水害で失い、天涯孤独の青山霜介。そんな霜介が、アルバイト先で水墨画に魅了され、水墨画の大家である篠田湖山の勧めもあり、その世界の門を叩くことになる。持って生まれた感性と努力で、家族を失ってから初めて、自分を前進させる世界と出会うことができた霜介。そして、同じく湖山の弟子で、美しい孫娘となる篠田千瑛と、若きライバルとして切磋琢磨し、水墨画の世界へとのめり込んでいく。
様々な挫折や苦悩を経験する中で、水墨画と向き合い、優しく見守ってくれる家族の様な人々とも出会いながら、自分なりの未来を見つけ歩み出した霜介。そして、特別な感情が生まれ始めた千瑛との青春ストーリーにも、エールを送りたくなる。
主演の横浜流星は、この役を通して、落ち着きや穏やかさがよく表れていて、大人の役者として、一歩成長した姿を見せていた。また、千瑛役の清原果那は、今年は朝ドラから探偵・翡翠のドラマ、映画でも『護られなかった者達へ』など、大ブレイク。このまま大きく成長していって欲しい女優だ。そして、この若き2人を引き立てる脇役となっているのが、三浦友和と江口洋介のいぶし銀なベテランの演技。
悪人が一人も出てこない、爽やかな青春ストーリーの中に、静かな熱き情熱が伝わってくる作品だ。
エンドロールが台無しにした
映画が終わって曲が始まった途端に吹替日本版エンドロールご用意されたのかと思った。
ちはやふるで映画とPerfumeの素晴らしい組み合わせが出来たのに…
映画自体は横浜流星さんと清原果耶さんの美しさで退屈せず観ることが出来た。
光や俳優の表情の撮し方が良かった。
原作があるとのことですが脚本に魅力を見つけることができませんでした。
悪く無い
観客を迷子にしない解りやすいストーリー。
余計な物を挟まない絵作りと脚本。
見た人間全員が同じ事思うであろうシンプルな演出。
悪く無い、悪く無いです。
ごめん、俺が映画に見たい物ってこう言うんじゃ無いんすよね。
ごめんね、江口洋介がピンチを救う大舞台とか、世界を救うとかじゃ無い、個人への救済がテーマの結果だったラストとかは好きですよ。
てもね、テレビ屋さんの仕事っぽくて好きになれないです。
万人のために卒なく作った、甘くも無く、辛くも無い中陽なホテルカレーみたいです。
できるか、できないかじゃない。やるか、やらないかだよ。
「ちはやふる」のチームが水墨画をテーマに製作とのことで、
期待しての鑑賞。
原作は知らず、前情報は他映画での予告のみ。
水墨画の美しさに心打たれ、たびたび出てくる前向きな意見に励まされ、
純粋にいい映画でした。
特に湖山先生の台詞「できるか、できないかじゃない。やるか、やらないかだよ。」
は印象に残りましたね~。
やはり何事もまずはやってみないと。
背中をポンと押してくれる、一言ですね。
他にもポジティブワードがたっぷり。原作を読んでみたくなった。
そして、これ見て、水墨画にチャレンジしたい、と思ったのは
私だけではないはず。
主人公の霜介役、横浜流星さん。2か月前に銀行マンの映画を見ていたので、
ギャップが大きかったけど、優しそうな口調、対応も似合っていました。
三浦友和さん演じる湖山先生の、口数少ない、教え下手なところ、一方的な話し方。ウケました。
孫娘の千瑛役、清原さん、初めて映画で見たかと思ったら、
ちはやふるで福井弁を話していた女優さんとは。
でも、美味しいところを持って行ったのは一番弟子を演じた、江口洋介さん。
あんちゃんだよな~、いくつになってもかっこいい。
でも、主題歌はいまいち。合っていないと思ったのは私だけかな。
余韻をブチ壊すJ-Pop
繊細で静謐な映画でしたが、ところどころ漫画的な台詞回しや説明的な演出が気になりました。
テレビ局映画の悪い所が出てます。
演者は皆良かったですが、特に江口洋介がハマっていて、彼の見せ場は圧巻でした。
丁寧に作られていただけに、挿入歌とエンディング曲の場違い感が本当にひどい。
こういうのはプロデューサーの責任ですかね。
余韻に浸れずとても残念でした。
タイトルなし
物足りない。三浦友和が横浜流星を半ばおしかけ的に弟子に取るきっかけが椿の絵を見て感動している姿を垣間見た、あの一瞬のひらめき?それとも清原果耶を成長させるための当て馬?結果として全員が幸福なエンディングとなったものの、スタートを偶然のように描いた点に乗れず。
役者たちはそれぞれのお仕事をきちんとなされておりました。清原果耶はファイトソングが合わなかったけどシリアスな役はやっぱり上手い。清原果耶と河合優実の共演をドキドキしながら待っていたが、河合優実は単なる同級生でした。
かるたのように動きの激しいスポーツならともかく、水墨画を描くさまにドラマチック一辺倒の音楽をつけるセンスはちょっとなあ。
かなりハイレベル
「ちはやふる」シリーズのノウハウを活かした手堅い作り。
三浦友和は良い味、江口は美味しい、清原果耶の演技は手堅い。だが、横浜流星は熱演だがどうしてもあんな風に弱くは見えない…河合優実はせっかくの演技力がボンヤリとしたキャラクターにしか結びついていない…と、手放しでは褒められない…
しかしそれをおいても、水墨画のアニメ表現や本人がやったとしか思えない水墨画アクションなど、魅力は多い。
かなりハイレベルでまとまった作品だった…
観終わった後、水墨画展を見に行きたいとも水墨画をやってみようかなとも思わせないのが致命的。出演陣は悪くないのに脚本・演出が上っ面だけ撫でているだけだから。
①出だしは良かった。椿の水墨画の前で何故か涙ぐんでいる横浜流星。賓客用のステーキ弁当を食べなさいと言いステーキまで分けてくれた優しそうなオジさんが水墨画の大家で、衆人の前で見事な水墨画を描くところは感動的ですらあった。
②ところが、このシーンがクライマックスであったと思えるくらいあとは最後まで胸に響かない。三浦友和扮する水墨画の大家も、富田靖子演じる水墨画の批評家も如何にも芸術家らしい深い台詞を言うのだが心に刺さってこない。演技が悪いのではなく脚本も演出も上辺だけなぞっているからだ。そういう時代だからか、原作がそうなのか分からないけれども、全体的に大変ライト、軽い。
③湖山がいつまでたっても現れず、中止にしようとしたときに、湖山の使用人と思っていた西山が実は水墨画の達人で見事な水墨画を描いて皆をあっと言わす一幕もサスペンスの盛り上げ方が巧くなくカタルシスが味わえない。
④横浜流星も悪くはないのだが霜介が水墨画に魅せられのめり込んで行く過程にもう一つ説得力がない。古前が霜介を励ますシーンも伏線が無いので唐突で取って付けたような感じ。
⑤ご贔屓の清原果耶も若くして将来を宿望された画師の凛とした姿の造形は流石だが、祖父であり師匠である湖山に対する複雑な心境がよく解らず西山の台詞で説明されるだけ。これは小説的手法であって映画的手法ではない。
⑥霜介の心の傷の原因がわかってから二人が画いて画いて画き続ける映像が続くが、その後は千瑛が大賞を取り霜介が新人賞を取った結果が示されるだけなのでカタルシスがなくそのままラストになるので物足りない。
⑦何より、線を画き続ける描写は有っても、初めて線を描けた時の感動や自分の線を描けた時の達成感が描かれていないのがイタい。全く違うタイプの映画ではあるが、『Arrival』でヘプタポッドが初めて彼らの文字を描いた(あれも墨絵みたいでしたね)時のような驚き・感動が有ったらなぁと思う。
また、どんな線かは、これまた湖山や千瑛、翆山の台詞で説明されるだけで、もっと映像的に表現して欲しかった。
⑧結局、三浦友和(ジジ臭くないのは流石かっての青春スター)のTVデビュー作(映画デビューの前)から見、富田靖子(貫禄ついたね)もデビュー時代から知っているオールドファンには、映画自体よりも時の流れの方が心に染みた。
満たされない男女が満たされていく
家族を失ったり、愛されなかったり、居場所がなかったり、評価されなかったり。
そんな若い男女がとある椿の水墨画をきっかけに出会い
互いの暗い過去を曝け出し距離を縮める人間ドラマ。
他人におすすめしたい邦画ですね。
映画館行くたびに毎度プロモーション映像が流されるのも納得。
正直ラブストーリーをもう一歩踏み込んで告白なりそういうシーンまでやってほしかった。
原作あるので無理はいえないが。はっきり描写しないほうが水墨画らしいか。
青山霜介(そうすけ)
好青年。パルフェの主人公高村仁のように家族思いで闇を抱えていて女性からの接触にドキドキもせず好意に鈍感。テンプレ主人公かよ。
普通の男はまず顔見て惚れて体くっつけて手を握られて筆の動かし方を教えてもらった瞬間意識し始めると思うけど?
篠田千瑛(ちあき)
霜介よりも年下らしい。湖山先生の孫であり弟子で霜介からみたら年下の兄弟子。
序盤から霜介にひっそり好意もってるよね。
ぶつくさ文句言いながら丁寧に教え、サークルでは褒め、誤飲酒を機にアパート乗り込み、
女性画家に貶されたときにかばったシーン、アパート前で膝抱えて過去を共有するシーン、
極めつけは「ついていってもいい?」。で男の3歩後ろを歩く。
料理はだめだめだけど容姿芸術に関しては抜群という冬馬かずささながら。
男から見ると100点満点の女性でした。
お節介な同級生の男
3年になり過去を引きずったままの霜介を心配するシーンは飯塚武也。
でも彼女っぽい女性がいる前で「今度千瑛ちゃん紹介してよ」発言は無神経すぎかもね。
女性は傷つく。たぶん原作通りなんだろうけど。
演者さんの演技も文句なしでよかった。
イケメン主演俳優なので女性向けと思いきや実はこれ男性こそ見て損はないですね。
原作もよく、映像化も上手なのだろう。
いまどきの物語はこうなのか
水墨画の有名な先生がお寺で絵を描くから、その設営のバイトに行って描くとこ観てたら『僕の弟子になりませんか』って言われるっていう意表を突くオープニングなのね。
そこから、水墨画を通じて、不幸なできごとに傷ついた主人公が再生していくって話なの。
面白いんだけど、ほとんど主人公を追い詰めないんだよね。
横浜流星が清原果耶と出会うシーンは、物語のお約束としては、最悪の出会いをするんだよね。そこから始まって、少しずつ仲良くなっていくっていう。
でも、普通に出会うの。バチバチやり合うこともない。
それで横浜流星は、弟子への誘いを『僕なんか』って感じで断るんだけど、強引に『じゃあ、水墨画教室の生徒ってことで』と水墨画を描かされて、しかし、だんだんのめり込んでいくという。
すごく都合の良い展開なんだよね。主人公が苦労して何かを乗り越えるというのは、ほぼなくて。
ただ、強烈な事情は背負っていて、家族が不幸な亡くなり方をしてるの。それで、最後の別れ方が喧嘩して別れちゃったし、妹は最後に電話してきたのに出てあげられなかったっていう。
「そりゃ、辛いよね」という、ここの共感だけで話ができてる。
そこを乗り越えたのはなんでなのかというのは、極めて曖昧なんだけど、みんな「乗り越えて欲しい」と思って観てるから、乗り越えると心が動くんだよね。
「主人公、どうなるんだろう?」とジリジリさせる展開はほとんどなくて、一本道を突き進んでいって爽快な感じ。いまは、こういう物語がいいのかなと思いました。
そして、この映画が面白いのは、演出のうまさだね。
オープニングは涙を浮かべている横浜流星のアップなんだけど「わかってる」感があった。観せ方がうまい。
役者さんも、若手は細田佳央太、河合優実をつかい、ベテランには富田靖子を入れてくるっていう「わかってる」感あふれるキャスティングで、企画の勝利だね。
制作陣、キャスト陣に拍手を送りたくなる作品
映像、音楽、芝居、そして水墨画の魅力、いずれもハイレベルで見応えがあった。細部にこだわりが見えてそれらを発見していくワクワク感があった。
この映像化はかなり困難を極めたのではないかとなんとなく感じてしまった。
全体的に演者の芝居がとても良いが、最初のシーンの横浜流星の表情、最後の涙ぐむ清原果耶の表情に特にひきこまれ印象に残った。師匠三浦さん、メンター江口さんの表現やセリフも物語のよきスパイスになっている。
躍動感のある水墨画パフォーマンスもありつつ、登場人物の心の機微を丁寧に描かれ、動静のバランスも素敵だった。エンドロールも曲がいいだけでなく、正に!という表現がなされており、最高。
緑茶を飲みながら心穏やかに鑑賞したくなる
2022年劇場鑑賞242本目。
水墨画には元々興味があり、濃淡だけであんなに鮮やかな絵が描けるなんてすごいなと思っていました。
この作品もそういった水墨画の魅力を存分に味わわせてくれたと思います。
江口洋介はやっぱりカッコ良かったですね。清原果耶もいつも後輩キャラが多いのに、今回珍しく先輩キャラ(年下だけど)なのも良かったです。あのつっけんどんした顔は先輩向きなのかもしれません。
最後はちょっと泣いちゃって、あー緑茶飲みたいなぁ、水墨画もちょっと描いてみたいなぁと思いながらエンドロール。この作品、音楽もすごく良くて、厳かで伸びやかな感じがすごく水墨画を描いているところにマッチしていたのですが、なんかいきなり曲調が変わって今どきの歌に・・・。さすがにこれで余韻がぶち壊されて☆思わず減らしてしまいました。
パーティーシーンだけは受け付けない
だいぶ設定と雰囲気を原作小説と変えてあります。
万人受けを狙うエンターテイメント作品、特に若い人に分かりやすくみてもらうためには必要な設定なのかなと理解してます。
が、湖山会のパーティーだけは受け付けなかった。急にきた外国の大臣…再現Vでお馴染みの白人さん、インフルエンサー、右往左往上下するわざとらしいスタッフあのくだり、富田靖子さんの大御所っぽくない大御所、安っぽくなって残念でした。
主役の2人の繊細な演技、日本家屋の美しさ、金魚が泳ぐ絵、墨が水に滲む絵、霜介の最初の右往左往するかわいところ、最後の過去と向き合って水墨画を描くところの美しさ。そこは何回も観たいです。円盤になったらパーティーのシーンは江口さんの描くシーンまで早送りするかも。
頑固な横浜流星と頑固な監督が話し合って折り合いをつけた演技。見応えあります。
水墨画の世界に魅了された
水墨画を題材にした原作小説を映画化した異色の青春映画。初めて観る水墨画の美しさや奥深さに魅了された。生きる意味を見出していくような心暖まる作品で水墨画の世界に時間も忘れて引き込まれた。
主演の横浜流星と清原果耶は既に貫録があり安定感抜群の演技力で文句なし。そして共演者の三浦友和と江口洋介も存在感があって素晴らしかった。
2022-189
地味な映画だけど良作(^^)
原作者・砥上裕將さんのデビュー作(メフィスト賞受賞)で、水墨画の世界を描いた同名小説の映画化。既読だが3年以上前なので、ストーリーはほとんど覚えていなかった。ちなみに砥上氏は水墨画家でもある。
横浜流星くんが主役だが、ぼくのお目当ては清原果耶ちゃんだ(*^^*)。今回はツンケンした態度の奥に繊細な情熱を秘めた女性を演じ、また演技の幅が広がったなと感じた。流星くんも『流浪の月』の残念な印象をふっとばす演技で、うまいなと思った。
文章ではなかなかイメージしづらかった水墨画の世界を丁寧に描いていて、なるほどと思った。細々した用具や、筆使いは読んだだけではわからない。このあたり、やはり映像は強い。反面、キャラクターの内面がわかりにくいかな……と思うが、過去の自分のレビューを読むと、小説でもそこは疑問符が付いていた(^_^;)。
客の入りは今ひとつのようで、『ハケンアニメ!』や『はい、泳げません』のような結果にならないことを願う。
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