劇場公開日 2022年4月8日

  • 予告編を見る

「良い作品なのですが、趣旨があっちこっち飛びすぎ…。」クルーガー 絶滅危惧種 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5良い作品なのですが、趣旨があっちこっち飛びすぎ…。

2022年4月9日
PCから投稿

今年101本目(合計374本目/今月(2022年4月度)11本目)。

この映画、なぜか大阪市ではブルク(バルト等)7でしかなく、そのために移動しました。しかも新作なのに2本というありさま。まぁ、ファンタビだらけなのでこの状況は続くでしょうね…。

お話のストーリーとしては、アフリカでサファリツアーを楽しむ予定だったところ、契約の行き違い(というより、実際に契約していない)のため、正規のサファリツアー(ちゃんとガイドをつける安全なもの)に行けず、無理やり自分の車で家族でいったらトラブルになる、という趣旨のお話。

100分ほどのストーリーなので、お話自体はわかりやすいし、出てくる動物も日本基準で考えても、サイやシマウマなどおなじみの動物だし、一般指定なので残酷な表現などもありません(ごく撃ち合いシーンがある程度)。

問題は妙な話の論点に飛んでいるところで、最近よくいわれる「サステナビリティ」の話を突然するかと思えば、密猟者がどうこうといった話にまで飛ぶので(ただし、出るだけだが、密猟者は大きなポイントになる)、「100分くらいで気軽に見られるし一般指定で、アフリカでめったに見られない動物を(合成CGかもしれませんが)見られる映画だ」と思えば、確かに80分くらいはそうですが、残り20分は謎の展開に飛びます。

ただ、この映画、最後まで見たいただくとわかるのですが、「本映画はフィクションですが、アフリカでは年に動物が○頭ほど密猟され、密猟者が年に何人逮捕され…」といったことが突然表示されます。つまり、本国などではこの映画は「娯楽映画であると同時に問題提起型の映画」のカテゴリに分類されているのでは…と思えます(映画内でもSDGsがどうだの、あまり他の映画では出てこないような単語を言うあたり、教育映画ではないか…とも考えうる)。この説明が日本国内では一切ない上に、突然最後にその話が始まるので、まぁ大人の事情(問題提起型にすると、客数が減るので、最初に書けなかった?)かなとは思うものの、その話が出るのもおそらく動物愛護団体などとの兼ね合いもあるかと思いますし、出るといっても全体の1~2割ほどです(映画としては純粋な娯楽映画と考えて構いません)。

そういう難はあるにせよ、ファンタビ以外で「動物など出てくるアクションものないかな」というのであれば、本映画は本命以上になるかと思いますが、なにせやっている映画館が極端にすくない(大阪市でさえ1つしかないっていったい…)ので注意です。

------------------------------------
(減点0.3) 結局上記で書いたように、映画自体は「単純な娯楽映画」として見るのが妥当と思いますが、本国の規制なのか動物愛護団体の干渉なのか、あるいは最初からそうなのか不明ですが、突如エンディングロールで「密猟の被害がどうこう」といった話を始めるので(さらに、映画内でもSDGsの話やら食べ物の偏りは病気になるとかという話も出る)、見る人によっては???という状況も考えられるところです。

ただ、この映画はそうはいっても8~8.5割はアクションシーンである以上、いわゆる「問題提起」型を多く扱う映画館(大阪市では、テアトル梅田等が該当)で扱う分類ではないのだろうとも思え、消去法でブルク(バルト等)が残ってこうなってしまったのではないか…と思えます。

結局、もとのフィルムがそうなっている以上、日本だけ「混乱するからその部分は消しましょう」ということにはできないし(日本は動物愛護法もあるし、日本は島国なので、動物虐待にも自然と限界があります)、そこはもう「大人の事情(権利関係)」として割り切るしかないかなというところです。
------------------------------------

yukispica