劇場公開日 2022年5月6日

  • 予告編を見る

マイスモールランドのレビュー・感想・評価

全134件中、81~100件目を表示

5.0最後の眼差しが希望であり祈り

2022年5月16日
Androidアプリから投稿

政府や社会をただ批判するだけのドラマではなく、在日クルド人の辛さに寄り添って、淡々と日常の不条理を描いていて、自分がどう考えるのかを問われていると思う。

アイデンティティがはっきりとせず、手を洗う最初の場面との対比として、最後は顔を洗い覚悟を決めて世の中と向き合おうとするような目に、希望と感じるとともに、幸せを祈りたくなります。

親が子供の幸せを願う姿は日本もクルド人も変わらない、見た目や習慣が違うかもしれないけれど、同じ人間なのです。

きっとすぐには何も変えられない、だからこそ若い人に見てほしいと願います。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
shimashimapon

5.0異質の他者を受け入れる

2022年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

まず映画としての完成度の高さに驚かされる。伏線の張り方が見事である。都県境表示に二人で手形を残すシーンも、後の場面ではサーリャの今後を予感させる不穏な描写へと変化する。台詞や描写が説明的と言われる方もいらっしゃると思うが、私は一つひとつが丁寧に、複雑に絡み合ってストーリーが展開しているように感じた。これが商業映画デビュー作とは思えない、川和田監督の手腕が光る映画だ。また一つ大きな才能が日本映画界に生まれたことを大変喜ばしく思う。

この映画で描かれていることは「居場所」だ。国を持たない最大の民族と言われるクルド人はまさに「居場所のない存在」である。何らかの形で居場所を奪われた彼らに、我々日本人は居場所を与えることができるのか…。私も本作を見るまで、日本における難民を取り巻く問題にあまり関心がなく過ごしてきてしまった。これをきっかけに興味を持って調べてみたが、その不条理さ、問題の根の深さに無力感を覚えた。

川和田監督が各方面のインタビューで「知ってほしい、忘れないでほしい」と語っているのが印象的だった。知ることの積み重ねで何かが変わっていくと思う。しかし、それだけでは足りない。知ること、そして考えることは「祈り」に近いものだと思う。ラストカットにて、サーリャは祈ることを辞め、前を向いた。これは祈りを捨てることではない。祈りを胸に抱きながら、彼女は歩き出すのだろう。行動していくのだろう。だからは、私も行動しなければならない。

まず知ることから始めようと思う。そしてそれを伝えていこうと思う。本作のクルド監修であるワッカス・チョーリャク氏が営むクルド料理の店が十条にあるそうだ。ぜひ行ってみようと思う。

コメントする (0件)
共感した! 6件)
のむさん

3.0ドキュメントじゃないよ。

2022年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

是枝ファミリーの女性監督長編デビュー。
気になっていた題材だし、話題性も有ると思って観ました。ドキュメントでもノンフィクションでもない、監督脚本。入管の闇を暴く!、、ではなく日本に暮らすクルド人家族を描いた話、この辺の問題はもっと掘れるネタなんで別な映画でもっと扱って欲しい。
主人公の嵐莉奈と奥平大兼がなかなかよい。

じわじわ追い詰められていく感じを、どこか優しい視線で切取るれるのは女性監督だからだろうか?もっと厳しい描き方もあったと思うんだけど、、これを甘い!と取るか優しい!と取るか、、悩む所だ。

自作に期待する。

コメントする 1件)
共感した! 2件)
masayasama

5.0 等身大のクルド人家族の物語が胸を打った。日本人全員が見るべき映画...

2022年5月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

 等身大のクルド人家族の物語が胸を打った。日本人全員が見るべき映画。
 日本人は皆典型的で酷い。カラオケボックスでのパパ活男は本当に最低。そんな中、彼だけが素敵だ。
 一生懸命生きている人をサポートできない日本という国。
 不法就労に関してもおそらくヨーロッパならもっと寛容だ。
 永作の振る舞いは、見た目、彼女に寄り添ってるだけ酷い。本当に日本的。
 お父さん、面白い人だねという、彼のセリフが素敵。お父さんは味があって、娘を殴るのは許せないけど、いい人。ラストに繋がる石の話、ビズ、それと対照的なハグの話、ドイツのエピソード、ラーメン。忘れられない。

コメントする (0件)
共感した! 8件)
えみり

4.0救いようの無い展開。 観ていて辛くなる映画、本年度ベスト級!

2022年5月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

埼玉県に住むクルド人家族の苦悩を描いた作品。
長女の高校生サーリャを中心に進む展開。
サーリャ役の嵐莉菜さんが美しい。
日本とドイツのハーフのモデルの方だった。

勉強も出来て小学校の先生を目指すサーリャ。
コンビニでバイトして学費を稼ぐ中、家族が移民権を失いビザも失効される展開。
働く事も他県に移動する事も禁じられ八方塞がりな状況。
生活の為、働く父も違法で捕まり拘留されてしまう状況。
家賃も払えず最悪な状況が辛い。

そんな中、バイト仲間の崎山との恋愛ストーリーが同時進行。
辛い中、二人のちょっとした行動に心が休まった感じ。

家族の為に取った父親の選択が辛すぎた。

終盤、サーリャの弟がジオラマを作って遊ぶシーン。
石をそれぞれの家族に見立て、ジオラマに自分の好きな場所に石を置くシーンに泣かされた。

鑑賞前にクルドと移民の事を予習した方が良かったかも( ´∀`)

コメントする (0件)
共感した! 4件)
イゲ

4.0本作の良否を言うのは自分ではなく・・・

2022年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

「難民」の問題も、ウクライナ「避難民」問題が生じため、今や新しいフェーズを迎えているが、政府はどういう詭弁で乗り切るつもりだろうか。

本作を見終わった後の第一印象は、問題点がシンプルに整理され提示されているようだが、劇映画としてはこれといったインパクトに欠ける、だった。
しかし、しばらくすると記憶の中で、妙にジワジワ味が出てくる。

電気代節約のため、冷房のスイッチを入れたり切ったりするシーン。
クルドの同胞男性を拒絶するシーン。
埼玉と東京の境を示す看板の手形は、問題の本質を一撃で表した、せつなくも特筆すべき名シーンだと思う。器物損壊を言うなら、人権損壊も見なければならないだろう。

彫りの深い顔立ちの嵐莉菜は、表情を作るのにやや時間がかかり、それが微妙な“間(ま)”になって、主人公の内面を暗示しているところが、本作のテーマに合致していて良かった。
初演技とは思えないほど器用で真実味があるし、この先おバカなトレンディー作品だけでなく、本格的な演技派でも売れて欲しい気がする。

とはいえ、本作の良否を言うのは自分ではないだろう。
日本の難民の人たちがどういう印象を持ったか、知りたいところである。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
Imperator

4.0ノンフィクション

2022年5月15日
iPhoneアプリから投稿

エンドロールに、実話を元に作成した
フィクション的な説明がありましたが
この話はノンフィクションなんだろうな
と思われる作品です。

この手の話は日本の難民、移民局では
当然の話でしょうし悲しくなります。
もう少し人間的側面を持って彼らに
接して欲しいと思います
日本人として恥ずかしくなります。

この問題点にフォーカスした
素晴らしい作品です。
主人公の哀愁漂う可憐な可愛さに◎
ベストマッチングかと

コメントする (0件)
共感した! 4件)
Leojiji

4.02022年ベストムービー!⭐️⭐️⭐️⭐️✨

2022年5月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

理不尽で非人道的で、不条理で融通の利かない日和った"お役所"の難民政策を知るための、そして告発するための映画。

(クルド人について調べてみよう…。)

コメントする (0件)
共感した! 4件)
stoneage

3.0テーマや役者といった素材は良いのだが、、、、

2022年5月14日
iPhoneアプリから投稿

在日クルド人の少女が、在留資格を失ったことをきっかけに自身の居場所に葛藤する姿を描いた社会派ドラマ。というのがあらすじの文句ですが、ストーリーはその通りです。

う〜ん、評価が高い作品ですが、好みではない。でも良い作品なので、なるべくネタバレ無しで。取り上げているテーマは良いし、役者も魅力的。映像の魅せ方としても楽しめるけど、、、映像としては文句なく良作だとおもいますが、エンタメ性が欠けています。

葛藤を描くならカタルシスがないと、みている側に届かない。アカデミー作品賞の「コーダ」に近いテーマで、なんとでも解決法を提示できるはず。それが作り物っぽくっても、逆手にビターなメッセージを入れることだってできる。

社会派ドラマとは初めから思えません。難民政策やらクルド問題なんてフレーバー的にしか語らず、美少女と安っぽい恋愛と青春ものでまとめていますしね〜。エンタメでも社会派でもないなら、何を創りたかったのでしょうか。

せっかく良い題材と魅力的なキャストに高い映像力があるのに勿体ない。例えが雑ですが、良い素材とシェフが見つかったので「あえて素材の味を」そのままで出された料理、って感じです。生食が好きな方には合うでしょうが、せめて「何味」が欲しかった。

まあ主演の女の子は可愛いし演技も上手いし、難民に日本は厳しいよね、って素材は分かるのですが、そこにどんな味付けするのが、伝わって来なかったです。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
おでん

4.0しょうがない

2022年5月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

マイスモールランド

難民問題等、現在進行形の社会問題を扱った作品は、作り手やそのもっと奥にある意図などを勘繰ってしまうため、苦手でした。
しかしこの作品は、非常にシンプルかつ熱い映画で、川和田監督のこめた想いが、ストレートに刺さってきました。
国を持たないクルド人が難民として埼玉に住んでいる。しかし難民申請が却下され、複雑だが穏やかな日常は一変する。こう言ったシナリオは、予告やあらすじを見れば簡単に想像できるものだと思います。この作品は、このシナリオを映画にするために、何か特別な展開(善悪関係なく)や特別なキャラクターが登場することは一切ありません。周囲の人間は彼らを助けたい、とはおもうが、どうすることもできない。これは、私たち一般人が同じ立場になっても、同じなんだろうな、と悔しくも共感するしかない。そして彼らが採る選択は、非常に"現実的"です。映画的に残酷でもなければ、ドラマチックに感動的でもない。まるでドキュメンタリーのような、ノンフィクション作品のような構成で、涙し、この現実についてもっと学ぶ必要があることを突きつけられるだけです。
しかしこの作品の素晴らしいところは、圧倒的フィクション感にあると思いました。ノンフィクション作品のようなリアルな構成にも関わらず、主演の嵐さんの"お人形のような"美しい顔立ちと、日本人から見ると不思議なクルドの風習と、綺麗な映像によって、どこかおとぎばなしのような雰囲気によってすんなりと作品が心に入ってきました。
最後に、嵐さんと奥平さんの演技がとてもよかった。嵐さんは、演技初とは思えない、いやむしろそれがよかったのか、過剰すぎないリアルな葛藤が心に刺さりました。そして奥平さんも、MOTHERの時の目が印象的でしたが、どうしたらいい分からないどう答えたらいいかわからないとゆう純粋な高校生の姿と彼女を想う気持ちが表情によく現れていました。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
Miyu

5.0この時期に観るからこそ、の思い

2022年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

移民、難民、人ごとのように思っていた「ほかの国の出来事」が、決して他人事ではないという思いを持つ2022年  世界中のどの国でもあのニュースがきっとトップで連日取り上げられていて、ささやかなごくごく普通の人々の暮らしが脅かされている歴史の場面を私たちは見ている  おそらく将来の教科書にも載るような、様々な理屈をでっちあげて戦争というものが起こっているのを見ている
クルドの話はそれとは違うけれども、民族が迫害を受けてきた歴史に、私たちは関心を持たな過ぎているのは確かだろう  埼玉県に幼いころ住んでいた自分は、京浜東北線で川口駅から赤羽駅の間を流れる荒川を渡って、「なんと大きな川だろう」と思った  その一本の川すら渡れない、「難民」を苦しめる入管のあり様を、丁寧に取材されて観るものによく伝えてくれている
この話も現在進行中のことであるし、自分ではどうしようもない運命に、今も懸命に闘われておられることに熱くなりました  池脇千鶴さんは前作「半世界」同様たくましい母親役に、池田良さんは屈折している「おじさん」の役に、よくはまっていました
嬉しかったのは大家役の小倉一郎さん、50年くらい前TBSの木下惠介アワーの常連で、小心者をよく演じられていましたが、懐かしく拝見しました
この時期に出会って、闘う人々への思いを深く持ちました                  (5月12日 なんばパークスシネマにて鑑賞)

コメントする 1件)
共感した! 9件)
chikuhou

4.5切ない

2022年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 6件)
正山小種

4.0良かった。

2022年5月13日
Androidアプリから投稿

良かった。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ino

4.5子どもたちの人生

2022年5月13日
PCから投稿

日本の入管の判断基準の曖昧さや、人道的におかしな部分は報道で感じた異様さそのままを描写。

映画キャラたちが受けた理不尽な難民申請取り消し、ビザ取り消し、「動くな働くな金を稼ぐな」でも「家賃払え」「飯は自分で調達しろ」という処分は、「死ね」って言うのと同じだよなー
幼稚園や小学校から長年日本の学校で教育を受けて、メンタリティは完全に日本人になっている難民の子どもたちの人生について、国は何も考えてないな、というのが実感。
さすが日本に入ってくる外国人は全員盗人かスパイだと思っていそうな人が多い印象の入管。
そして、日本の政治家と官僚は、「人権」が大嫌いだからだろうなぁ。

事態はなんの解決もしないまま涙で終わるが、問題提起が主だろうから、これはこれでありか。
是枝さん系統の映画だとしみじみ。
どことなく周防さんの『それでもボクはやってない』にも通じる批判精神も感じたりして。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
コージィ日本犬

3.5困難な人生でも前向きに生きようとする者への応援歌

2022年5月13日
Androidアプリから投稿

何も悪いことをしていないのに、進学も、恋愛も、将来の夢も、何もかも諦めざるを得なくなる。そんな理不尽な状況に追い込まれる少女の姿に、胸が締めつけられる。
主人公を悩ますのは、日本の難民認定制度と民族のアイデンティティーの問題だが、現実には、映画で描かれるより辛辣な外国人差別もあるに違いない。もっとも、悪意のない「外人さん」扱いが、意識的な差別よりも厄介であることが、きちんと描かれているところは秀逸である。
主人公の苦難を見ると、どうしても、難民を取り巻く制度や社会の不寛容さに憤りを覚えるが、作者が意図したのは、それを声高に非難することではないだろう。これは、「うまくいかない」人生であっても、前を向いて生きていこうとする者たちに寄り添い、応援する映画なのだと受け止めたい。
それにしても、フィクションだからこそ、かすかに希望の持てるラストにすることができ、それはそれで良いのだが、現実は、そんなに甘くはないだろうとも思えるのである。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
tomato

3.5難民

2022年5月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

今もウクライナでいる様に難民は受け入れた時は、手厚くされるけど、いずれはこの様な状況になって行くのですよね。その土地や環境に馴染み始めた子供には特に辛い事ですね。嵐莉菜ちゃんは美人でスタイルも良いし、これからが楽しみですね。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
ごっとん

4.0青春ドラマであり社会派ドラマでもある。

2022年5月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

萌える

高校生のサーリャと聡太の淡い恋を描いた青春ドラマであり、国を持たないクルド人の難民問題を描いた社会派ドラマでもある。
若い人にももっと観て欲しいと思う。そして、今、この日本にどんな問題が起きているのか、あるいは近い将来、どんな問題が起こるのか、考えてもらいたいと思う。
難民については、ヨーロッパで起きているさまざまな問題を考えると慎重な対応と結論に至るのは当然である。一方で映画のような理不尽なことが、この日本で起きているのも事実である。映画を観ればサーリャの家族に同情を禁じ得ない。いや、同情以上に強い感情に揺り動かされる人も多いに違いない。
このような難民問題に触れたとき、実際人々(日本人)はどうするのだろうか。聡太のように恋愛(といってもこれから始まるかもしれないという淡いもの)が絡んだとき、自分は何者なんだろうと深く深く考え、相手はいったい何者なんだろうとまた深く深く考えるわけだが、そこに難民問題が加わる。人によっては、ややこしいことに関わるのはやめておこうと考えるかも知れない。
恋愛に限らず、友情だったり、正義感だったり、そうした感情と法律や自身の利益とを天秤にかける。
この先、この問題とどう対峙すべきなのか、またその答えを示せと突きつけられることもあるかもしれない。

コメントする (0件)
共感した! 5件)
ゆみあり

5.0偉大な父親の愛に号泣

2022年5月11日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

悲しい

難しい

クルド人についてどれほどの人が知っているのだろうか。トルコから難民として逃れてきた約2000人近くのクルド人が日本で暮らし、そのほとんどが難民申請中とのこと、さらには入国管理局の理不尽さと恐ろしさを私は本作で知ることになる。
本作は在日クルド人への取材を基に製作されたフィクションではあるが、その中には日本で暮らす外国人が受けるイジメやどこへ行っても“ガイジン”と言われたりする苦悩と疎外感が描かれている。一方で自分たちのルーツや文化、しきたり、仲間同士で助け合う姿も描かれていて、取材から忠実に描かれていることが感じられる。

埼玉県川口市に住む高校生のサーリャは、幼い頃にトルコから父や仲間とともに日本にやってきた。小学校教諭になることを夢見て真面目に学業とアルバイトに励む日々。もちろん友達との時間も大切にし、日本の文化に溶け込もうと頑張っている。他にも家事や小学生の弟の面倒を見たり、日本語ができないクルド人たちの通訳も担ったりと、あまりに多くのものを背負う17歳の少女を見て応援せずにはいられない。

そんな中、難民申請が不認定に。在留資格を失ってからの一家に襲いかかる出来事に、見ているこっちが心が折れそうになる。
これまでの生活が徐々に壊れていく反面、アルバイト先で出会った聡太との距離が徐々に縮まっていく二人の関係性に希望が感じられる。

主人公サーリャ演じた嵐莉奈と聡太演じた奥平大兼の二人が透明感溢れ瑞々しい。鑑賞前はシリアスな社会派映画だと思っていたけど、青春映画要素もたっぷりだった。
難民問題や在日外国人の問題を知るきっかけとなる作品、教育現場などでも取り扱ってもらえたらいいな。

コメントする 1件)
共感した! 23件)
あさ

4.5未来に光がありますように

2022年5月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

在日クルド人の高校生サーリャが主人公。たまたま前夜に観た韓国映画「はちどり」と同じように少女の日常が淡々と描かれる。
淡々としてはいるが、演者が魅力的で演出も優れているのでずっと画面に惹きつけられる。

現実に今も起こっていることなので、物語も問題が解決せずに終わるが、終盤に父親の取る行動とその思いに胸を打たれる。

今日だけトッピングをつけていいと言われたラーメンを家族と一緒に食べるしあわせ。コンビニの新商品スウィーツを彼氏と一緒に食べるしあわせ。なんの贅沢もないこういったしあわせを取り上げる社会ってなんだろう。
この映画がきっかけとなって少しでも弱者に寄り添える人が増えればな、と思う。

現在、ウクライナから逃れてきている難民にはみんなが注目し、同情を寄せている。しかし、そういった方ばかりではない。私の住んでいる校区内に某国からの難民数家族が住んでいるが、彼ら彼女らは現政権から逃れて亡命してきた人たちだ。残してきた家族親族に災禍が及ばないようにひっそりと暮らしている。支援して仕事を提供している農家も美談ながらマスコミの取材など一切受けることはない。何かがあったとしても声を上げられない、そういった人たちだ。
今作も最後に、顔や名前を出せないけども協力してくれた方々へ感謝云々、とクレジットが出るがそういった方がたくさんいるということだ。

こうした現実の中で、伝えたいこと、伝えるべきことを劇映画の形で発信することはとても大切なことだと思います。

主人公が、ワールドカップで日本を応援したくてもできなかった、クルド人ということを説明するのがいちいち面倒なのでドイツ人と言っている、思われたままにしている等、当事者でなければわからないことにも気づかせてくれる。

「お人形さんみたいね、日本語お上手ね、頑張ってね外人さん」悪気はなくとも傷つけてしまうことを言っているのも無知であるからだ。

映画は現代社会を学ぶ最良の教科書だ。ひとりでも多くの人に観てほしい作品です。なんなら全国の中学校・高校で見せるくらいしてもいいんじゃないかと思う。
いい意味で是枝ブランドを使って少しでも上映館が増えることを願っています。
(残念ながら観客ひとりでした)

エンディングに流れるROTH BART BARTONの「New Morning」も良かったです。

主人公の少女が接見室で父親と面会するシーン。
ガラス板アクリル板越しの対面は、古くは「天国と地獄」の三船敏郎を前にした犯人・山崎努の独白が鮮明に記憶に残っている。つい最近では「死刑にいたる病」で阿部サダヲが岡田健史に重なり離れていく演出が突出していた。
今作ではサーリャの涙を湛えた大きな瞳に、父親の未来に光がありますようにと祈る手が重なって映るのがとても印象的だった。

コメントする 1件)
共感した! 38件)
大吉

4.0静かなる抗議

2022年5月10日
iPhoneアプリから投稿

あっちの方は綺麗ですよね。
多分ニュースに載る回数が少ないので令和になっても、このような不条理が残っているのを知る上でも良い映画だったと思います。

コメントする (0件)
共感した! 12件)
rakugoya1