劇場公開日 2022年1月21日

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「【プラットフォームと暗号通貨】」シルクロード.com 史上最大の闇サイト ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【プラットフォームと暗号通貨】

2022年2月3日
iPhoneアプリから投稿

考え方はいろいろあると思うけれども、僕は、最大のプラットフォームは通貨というシステムだと思う。

そして、その次ぐらいが決済。

このシルクロードという麻薬ECのプラットフォームは犯罪としては興味深いが、プラットフォーマーの恐ろしさみたいなものは、実は想像を膨らませるより結構小さいように感じる。

今年の年頭に、イアン・ブレマー率いる世界的リスクコンサルティング会社が、今年の10大リスクの一つに、グーグルやアップル、メタ(旧FB)、アマゾンというハイテク大手の影響力の強大化を指摘しているが、それに比べたらシルクロードは違法だけれども、合法のGAFAなどよりかなりちっぽけに思える。

このロス・ウルブリヒトの事件については、「ディープ・ウェブ」というドキュメンタリー映画が他にある。

この作品をずいぶん前に観たのだけれども、僕は、この映画のモデルであるロス・ウルブリヒトや麻薬販売サイトのシルクロードより、ビットコインの危険性の方が高いんじゃないかと考えたことを思い出した。

犯罪の温床になる取引を助長するし、昨今のサイバー犯罪のデータ引き渡しの決済はほとんどが暗号通貨によるからだ。

暗号通貨については旧フェイスブックが、決済についてはアップルが過去にチャレンジしたけれども、前者は政府から認められることはついになかったし、後者は、MVPと呼ばれるマスター、ビザ、ペイパルの信用情報を含む決済ネットワークに入りこむ隙間などほとんどなく、アップル・ペイはこうしたクレジット会社を通じたサービスを提供するにとどまっている。

ネットの世界でプラットフォームになったからと云って、美味しいところを全て持っていけると考えるのはお門違いなのだ。

メタは、今「メタ」を推進しようとしているが、この背景には仮想空間上で取引される通貨や決済を牛耳りたいとの思惑が透けて見えるような気がする。

うわべのうたい文句に惑わされて、仮想空間に住まって、財布まで握られるのはたまったもんじゃないように僕は思う。

まあ、この映画はご覧になった通りで、刑事は、捜査に関与した複数の人間をまとめてモデルにしたもので、その辺の違和感がぬぐうことは出来ないし、ロス・ウルブリヒトのいかれっぷりもいまいち表現できていないように感じる。

もしかしたら、ストーリーの中の恋愛描写は抑え気味にして、暗号通貨の危険性などを物語にもっと織り込んだら、もう少しスリリングだったかもしれないなんて考えたりするが、まあ、僕は映画関係者でもないし、本当にそうかは自分では分からない。

ただ、もう一工夫欲しかった気がするなあ。

ワンコ