劇場公開日 2021年11月19日

「ダブルで受賞、あるかも」パワー・オブ・ザ・ドッグ しゅなさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ダブルで受賞、あるかも

2022年3月28日
iPhoneアプリから投稿

パワー・オブ・ザ・ドッグ

今年のアカデミー賞で最多の11部門で
ノミネートされているという今作。
しかも、配信で見られる。というのでネトフリで視聴。

エニグマ〜では生真面目で偏屈な天才数学者を見事に演じて主演男優賞にノミネートされ、
今作では陰湿な牧場主で再度ノミネートされているベネディクト・カンバーバッチ。
陰湿な役と聞いて興味を引かれて,見始めて
途中まで正直『またこの手の映画か』と思ったけれど
主役を始め、彼からの陰湿ないじめで身も心もやつれ果てるキリステン・ダンストやその息子役の
コディ・スミットなど周りの俳優も素晴らしくて固唾を飲んで結末を見届けた。

ヒョロ長くてひ弱なピーター(コディ)は恰好のいびりの対象。
オレは『男の中の男』のような強い男しか認めない。
目から伝わる強い感情。
だがピーターが、誰も見ることの出来ない山の尾根の影を
初めてこの地に来た時から見えていたと知った時、
フィルの感情が動いた。
二人の間に風が吹き抜けて麦の穂(ススキかも)を揺らす。

もしかしたら誰にも知られてはいけない自分だけの至福の時を共有してもいい,とさえ考えたであろうフィルの眼差し。

キリステン(ローズ)が1階で弾くピアノと
フィルが2階で弾くバンジョー
大きな屋敷にメロディが鳴り響くシーンは圧巻。
ジリジリと心の奥に入り込んで来て、胃がキリキリしてくる。

ひょろ長くてひ弱なピーターは心優しき男の子
だけど綺麗な包装紙で母親の為に花を作ってあげるだけではない。
動物の解剖が好きで牛の病気にだって詳しいのだ。
母が幸せでいてくれる為にはなんだって出来るのだ。

うーん。
主演男優賞と助演男優賞をダブルで取っちゃうかもだな。

しゅな