劇場公開日 2021年11月19日

「去勢」パワー・オブ・ザ・ドッグ Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0去勢

2021年12月5日
iPhoneアプリから投稿

ガニ股気味にゆったりと歩く様が決まっているベネディクト。彼の存在感が画面を支配している。男々しさを背負わされ、秩序を保守せんとする者の悲哀に満ち満ちている。テーブルの前で造花が一目で入り、バンジョーを愛する繊細な男。理解されたくも周りからは理解されず、その期待を弟には躱されて、不安な表情を浮かべる。ロープに想いを託し、虚ろにふらつく。
女はアル中と思いを寄せる余地もなく、むしろ男の言い分の方が道に行っているようにも思われる。しかし、それでも抜き取られる。ピーターの動機が語られぬところではあるが、幾つかの解釈の幅を持たせている。
フライドチキンを作るのに鳥をつぶす。牛の皮を剥ぎ乾かす。山肌、馬肌、人肌と生々しさと血生臭さが共存する世界にあって、このドラマの生命感も際立つ。

Kj
talismanさんのコメント
2021年12月5日

フィルの解釈、素晴らしいです!

talisman