劇場公開日 2021年11月12日

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「無駄に間延びした脚本・編集が惜しい作品。」信虎 HALU6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0無駄に間延びした脚本・編集が惜しい作品。

2021年11月25日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

寝られる

本作の「視て聴いて体感する、新・戦国時代劇映画」という触れ込みから、全国公開初日の11月12日(金)に、(信虎嫡男)武田信玄公生誕500年、こうふ開府500年の記念映画『信虎』を劇場鑑賞をするべく、滋賀県大津市のユナテッドシネマ大津まで時代劇映画好きな父親と一緒に出向いて来ました。

戦国時代の名将・武田信玄の父で、甲府を開いた信虎の最晩年を描いた戦国時代劇映画。

2021年は、信虎嫡男・信玄公生誕500年、こうふ開府500年、そして2022年は信玄公450回忌に当たりその記念映画であり、また、本作品は黒澤明監督の『影武者』(1980年)で織田信長役を見事に演じてられた故・隆大介さんの遺作でもあります。

江戸幕府の第五代将軍・徳川綱吉の側近・柳澤吉保が、過去を回想するように、武田軍赤備え・山県隊の一員としても活躍した祖父・柳澤信俊も使えていた武田信虎について、吉保の四男・横手伊織に先祖の話を語り伝える述懐形式でお話しは始まります。

お話しの流れ的には、
かつて嫡男・武田信玄に追放なされた信虎は駿河を経て京に住み、足利将軍の奉公衆となっていました。
この徳川綱吉の側近・柳澤吉保の先祖も奉公衆をしていた武田信虎の物語は、追放から30年を経た元亀四年(1573年)、嫡男・信玄の危篤を知った信虎が、齢80歳ながらも、再び武田家の当主に返り咲こうと甲斐へと帰国を試みるところから始まります。
信濃の高遠で信虎の孫・勝頼とその寵臣に行く手を阻まれた信虎は、果たして、織田信長との決戦に気がはやる勝頼の暴走を止められるのか。
そして、武田家存亡を賭けた「虎」の最期の秘策とは・・・。
といったイントロダクションの映画でした。

率直な感想と致しましては、
まず、良かった点としては、ちょっとしたワンシーンの小道具ひとつひとつに至るまで、何から何まで本物志向に拘りぬいた戦国絵巻の映画であることはよくよく伝わって来ましたし、信虎の持つ<秘技>など、そもそものお話しの素材自体はなかなか面白くて良かったです。

ただ、次に不満点を挙げさせてもらいますと、
なにぶんと、脚本そのものや編集のテンポがかなり悪く、冗長で要らぬエピソードを詰め込みすぎて、お話しの流れが全体的に無駄に間延びして散漫になってしまっており、盛り上がりに欠けるので、ここぞという見どころがイマイチ伝わってこなくて、それこそ早く映画が終わらないかと、上映終了の時間ばかりが気になって本当に仕方がなかったくらいでした。
あまりにもテンポが悪過ぎて、2時間15分の映画ではありましたが、体感的にも、これほど観ていて、長くしんどく感じる映画も久し振りに遭遇しました(汗)

また、史実に忠実な映画にしたい為だったのか、あれも入れたいこれも入れたいという為なのか、思い切ってザックリと編集出来なかった<大人の事情>からなのか、お話しの素材自体はなかなか面白いのに、無駄に長く感じざるを得ない仕上がりの映画に陥ってしまっていたのが非常に惜しく勿体なかったです。

特に、信虎が亡くなった後のエピソードも蛇足とまでは言わないですが、もっとサラッとテンポ良く描いた方が後味も良かったかなと思いました。
約30分以上も信虎亡き後からのエピソードで引っ張るのも鑑賞している方も、あまりにもテンポが悪いと、かなり辛かったですからね。

あの金子修介監督の作品にしては、あまりにも仕上がりがイマイチな筋運びの脚本・編集で、冗長でテンポが悪過ぎるので、「おかしいなぁ」と思っていましたら、やはり金子修介監督の作品というよりも、むしろ本作は、製作総指揮ほか共同監督・脚本・編集・美術など全ての担当に関わって指導されておられる宮下玄覇さんによる実質的な作品とみた方が良いみたいですね。

宮下玄覇さんの本物志向に拘りぬいた戦国映画として、出来る限り、史実などに忠実に作ろうと、本物の小道具を使用し、また、字幕テロップを多用するなどその努力のほどは理解出来ますが、それ以外にも、編集面などでも、お話しの流れのテンポを考慮して、もうちょっと端折れるところは端折っても良かった気もしました。

私的な評価としましては、
小道具ひとつひとつに至るまで、本物志向に拘りぬいた戦国映画としての資料的見地からは価値があるのかも知れないですが、前述した不満点として挙げた通り、なにぶんと、脚本そのものや編集面でのテンポが悪く、冗長で要らぬエピソードを詰め込みすぎて、お話しの流れが全体的に無駄に間延びして散漫になってしまっており、盛り上がりに欠けるので、「ここぞ」という見どころがイマイチ伝わってこなくて、それこそ早く映画が終わらないかと、上映終了の時間ばかりが気になって、あまりにもテンポが悪過ぎて、2時間15分の映画ではありましたが、体感的にも、これほど観ていて、長くしんどく感じる映画も久し振りに遭遇しました。

要は、素材自体はすごく良いのに、イマイチ調理するのが下手だったような作品でした。

従いまして、やや厳しい評価になるかもしれないですが、あの観ている最中の映画の体感時間の長さを振り返りますと、五つ星評価的には★★★(60点)の三つ星評価くらいが相応しい非常に惜しい映画かと思いました次第です。

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HALU