「理不尽と不条理」ニトラム NITRAM zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
理不尽と不条理
ポート・アーサー銃乱射事件に至る過程を、事件を起こした「NITRAM」の人間模様を映画にしています。これが結構重いので以下、雑感を箇条書きで。
・人は誰しも不幸になりたくないし、不幸にしたくもない。しかし、個々人は独立した人格であって、立場もあり、思いは様々。それぞれの接触が常に意図した方向に実現するわけでもないし、実現しない方が圧倒的に多い。その実現しないストレスが行動に影響を与えていくが、実現してもいい方向に動くとも限らない。
・人はやさしさを求めている。与えるかいただくかは問題じゃない。が、やさしさに人は満足するわけでもない。
・実は、MARTINと呼んでいる人はいなかったことに気づいた時の衝撃
・「からかい」「いじり」がストレスになり、暴発するのは人の性。どこでも一緒。今回はいじめられっ子の暴発なんだろうけど、大好きな父が失意で弱ったこと、両親以上に心を触れあえることができたヘレンを失ったことが混ぜこぜになっちゃったか。
・NITRAMを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、どっかで観たようなでもなあ、と後で調べたらアウトポストで配属されたきた彼じゃないか!化け方がすごい。なんだよ、あのだらし無い身体の作りは。大変だったろうなあ。それから、発達障害者の演技が秀逸。
・たぶん、事件を起こした本人自身がどうしてこうなったと思っているんじゃないかな。
映画自体は非常に興味深く良作ですが、自分自身、消化し切れず胸糞ということもあり、あまりお勧めはしないかな。
コメントする