「暗殺されたブラックパンサーのカリスマ幹部と、チクリ屋に仕立てられた男。」ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0暗殺されたブラックパンサーのカリスマ幹部と、チクリ屋に仕立てられた男。

2022年6月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

裏切り者と、暗殺されたブラックパンサーのカリスマ指導者
2021年(アメリカ)監督:ジャカ・キング。
1969年にたった21歳の若さで警察とFBIによって暗殺されたフレッド・ハンプトン。
ハンプトンは「ブラックパンサー党」シカゴ支部の議長として、黒人の地位向上に尽くしていた。
子供への無料給食や、診療所の建設を重点にして、決して武力を持って革命を起こすような過激な指導者ではなかった。
しかしハンプトンの演説は力強くカリスマ性があり、多くの黒人に夢を与え、鼓舞した。

一方でビル・オニールはFBIの偽バッジをチラつかせて、車泥棒を働く小物だったが、
警察に捕まった時、釈放を条件にして「ブラックパンサー党」の潜入と情報提供者に
仕立てあげられる。

ビル・オニールを演じたダニエル・カルーヤは情報屋を辞めるに辞められない弱い立場や、揺れ動く心情を繊細に演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
しかし若きカリスマ指導者のフレッド(ブラック・メシアの意味は黒人の救済者だが、)役のダニエル・カルーヤの熱演あってこその映画で、演説の素晴らしさは他を寄せ付けない凄さだった。
それにしても「アメリカ」
キング牧師の暗殺(1968年1月15日)
マルコムXの暗殺(1965年2月21日)
そしてフレッド・ハンプトンの暗殺(1969年12月4日)

黒人の夢そして希望を託す巨人は、アメリカ政府の暴力でその命を絶たれ、
常に黒人に絶望と禍根を残す。
(キング牧師が、マルコムXが、フレッド・ハンプトンが偉大だから・・その影響力を恐れて、手っ取り早く暴力で排除する!!)

正義が正しく為されないアメリカは、卑劣で心の貧しい国家だ。

琥珀糖