劇場公開日 2020年11月20日

「モノクロ映像が「市民ケーン」の世界観を彷彿」Mank マンク 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5モノクロ映像が「市民ケーン」の世界観を彷彿

2021年3月21日
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鑑賞方法:映画館

映画史に残る名作「市民ケーン」の脚本家ハーマン・マンキウィッツの苦闘と人間像を描いた作品。「裸足の伯爵夫人」などで弟のジョセフは知っていたが、脚本家である兄の存在は、これまで全く知らなかった。
ハーマンはアル中で、おしゃべり、皮肉屋である一方、内心には強い正義感を持っており、演じるゲイリー・オールドマンがとにかく上手い。
モノクロ映像の質感や撮影技法が、題材である「市民ケーン」の世界観を彷彿とさせる。なかでも、新聞王ハーストの城の動物園(キリン!)、庭園、食卓などのキッチュさが印象的。
ルイス・マイヤー、アーヴィング・ダルバーグ、デヴィッド・セルズニック、ベン・ヘクトなど実在人物が次々に出てきて、予備知識がないと分かりづらいが、1930年代のハリウッド黄金期の舞台裏を覗き見している面白さもある。
デヴィッド・フィンチャーが、父の残した脚本を、念願叶って映像化したものとのことで、題材であるハーマンとともに、「忘れられた人々」にスポットを当てる心意気に、大いに賛同する。

山の手ロック
talismanさんのコメント
2021年3月21日

とっても同意することができたレビュー、拝読できて嬉しいです!

talisman