配信開始日 2021年1月7日

「橋がかかる --- 母娘の物語」私というパズル よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0橋がかかる --- 母娘の物語

2021年1月7日
Androidアプリから投稿

《橋》コーネル・ムンドルッツォ監督 × ヴァネッサ・カービー主演(熱演!)のドラマ。一筋縄ではいかない印象・個性的作品を世に送り出してきた感のある監督の新作に、他にもシャイア・ラブーフ、エレン・バースティン、ベニー・サフディなど素晴らしい役者陣キャスティング。そうした見事な演技で引っ張っていく。語弊を恐れずに言ってしまえば本作には犬も飛ぶという行為も、(宣伝で使いやすそうな)一種飛び道具のようなものはない至極真っ当なドラマ。ただ語り口は、膨大なページの内の何十ページ置きの数ページを丹念に描くことで他のページまで、間にどういった出来事があったのかを文脈に予感させる作り。こちらの想像を膨らませるのに十分な視聴体験を与えてくれる。そうして僕たちの人生、日常に悲しいかな起こり得る、降りかかる危険性のある残酷な悲しみ、ヘビーな題材を自宅出産の危険性にとどまらない、親子・母娘の物語として描き紡いでみせた。余韻がすごい。ヴァネッサ・カービーが、その悲しい出来事の前後でしっかりと顔が変わって見えるのも、すごいなと思った。
《リンゴ》長回しで見る者を引き込む圧巻の出産シーン。タイトル出るまで息つく暇も与えてはくれない。9月から10月、11月…そして月日は流れていく。癒えない時の中で時間を積み上げていく。深い深い悲しみ……NETFLIXと喪失、オリジナル映画で度々表れる要素。印象的な瞬間が本作には確かにある。例えば林檎という小物使い。また例えば冷蔵庫を開けるという何気ない仕草。一挙手一投足に目を向けさせる。そうした積み重ねで微かに、けど確かに主人公とその葛藤が見えてくる、感じられる気がする。流れる空気がごくごく自然体でまるで本当に日常を切り取っているようだから、その前後を予感させる。観客に想像の余地を与えるよう。ふとしたとき、何気ない瞬間に緊張感が走る。僕のラブーフ・センサーが働いた、彼が信頼すると決めたならそれは確かだと。ホワイト・ストライプスは良い。そして4月。

橋、家族3人が主役、陣痛は6分おき、ブロックンロール、サラダバー、キスして、何もかも知ってる、細かいこと、煙草、なぜ冷たい?触って、共振、ウソつきのクソ女、時間が傷を癒やす、カップルのバンド、自然に産みたかったから、信頼していました、あなたは"チーム"にこだわり…、リンゴの香りがした、その人は危害を与える気はなかった、償ってもらうことなど負可能だと言いたいわ、ルシアナ!

とぽとぽ