「見てるだけで心弾み、その創造性に刺激される」ライフ・イズ・カラフル! 未来をデザインする男 ピエール・カルダン 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5見てるだけで心弾み、その創造性に刺激される

2020年9月29日
PCから投稿

何ら難しいファッションの素養やブランド知識などなくとも、本作にはまずもって視覚的にピエール・カルダンの世界へと誘われていく楽しさがある。冒頭からカラフルでポップな色彩を散りばめながら小気味よくカットが切り替わっていき、また映し出されるファッションのどこか丸みを帯びた幾何学的なデザインにも、どこか遠い惑星や未来からやってきたかのようなSF的感覚が漂い、興味が尽きない。

御歳98のこの伝説的デザイナーには逸話が満載だ。ジャン・コクトーの「美女と野獣」に衣装参加したという経歴にも驚かされるし、50年代に多様な人種をモデルとして採用したり、いち早く日本、ソ連、中国にブランド進出したのも画期的。幼少期やファッションへの目覚めについてもっと知りたかった気もするが、まずはこれら広域な業績を100分にまとめ上げた手腕を讃えたい。「デザイナーに求められるのは社会を変えること」この言葉が強く胸に刻まれた。

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牛津厚信