劇場公開日 2020年6月12日

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「でかした、グレタ! そしてシアーシャ!」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 abukumさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5でかした、グレタ! そしてシアーシャ!

2020年7月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

フランシス・ハ!から注目していた、グレタ・ガーウィグがついにやってくれた。
女優としてもユニークでしたが、脚本・制作者としても本物であることを証明した。

オリジナル脚本の「レディー・バード」のあと、こうした文芸ものを撮るとは思わなかったけれど、オルコットの原作を読み返すと、なるほどレディー・バードで追求したテーマと一脈も二脈も通じている。広い意味で、新しいフェミニズムの潮流を感じさせる作品。
ジョーのような女性は、19世紀には少なかったかも知れないが、今も同じ問題で私達は苦しんでいる。

コロナ禍のさなか、女性の指導者やLGBTの活動家が、しなやかさと確かなリベラリズムで人間社会の行くべき方向を示してくれている。封切りが遅れたことで、かえってタイミングがよかったかもしれない。
この映画のテーマである「連帯」と「信念」、豊かな感受性が人間社会にとっていかに勇気を与えてくれるか、今、私達は気づきつつある。

他の方も書いていたが、シアーシャの面構えは本当によくなりました。彼女は作品を選んで確実に成長している。フローレンス・ピューも上出来。
このキャスティングもグレタ監督の勝利だと思う。

あえて時制をランダムに前後させて演出しているのは、心理の流れを素直に描こうとしているからだろう。マンブルコアで鍛えた映画手法が、旧態依然としたハリウッドを驚かしつつあると感じる。

abukum