劇場公開日 2020年2月21日

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「女優を美しく撮るための、見本集のような映画。」チャーリーズ・エンジェル yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0女優を美しく撮るための、見本集のような映画。

2020年2月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2000年公開のキャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リューがエンジェルを演じた『チャーリーズ・エンジェル』以来のシリーズ鑑賞でした。

2000年版は製作にも携わったドリュー・バリモアの意向を強く反映して、エンジェル達は銃器を使わず主に格闘技術で敵(男性)を薙ぎ倒していたように記憶していますが、それから20年経った本作では、エンジェル達は銃を撃ちまくるなど、よりバイオレンスさが増しています。

そのため映像としての迫力、見応えは十分なのですが、これは裏返せば、他のアクション映画との差異が見出しにくくなったとも言えます。その影響もあってか、本作の興行的な成績は今ひとつのようです。

主演のナオミ・スコット扮するエレーナは、エンジェル達に同行するエンジニアという役回りです。格闘技術に関してはほぼ万能な他の出演者に埋もれてしまわないためか、彼女には抜群のエンジニア技術が具わっています。そのため彼女の手際の良いハッキングに物語の展開を頼るという、いささかご都合主義な側面が目に付きました。こうした物語的な弱さも、評価の厳しさに繋がっているのかも知れません。

映像は数々のアクションシーンを捉えていますが、特に特筆すべきは主役の女性たちを引き立てるライティングです。立ち姿だけでなく、どんな激しいアクションシーンでも(リアル志向のためか、汚れや傷も結構目立つが)、彼女らの姿が美しく映るよう、入念に計算されています。特に光源が画面に入っている、プラクティカル・ライティングの手法が効果的に使われていると感じました。

ボスレーとエンジェルの関係など、このシリーズのファンならおなじみであろう組織上の関係性が理解しきれなかったため、ついに真の敵が明らかになっても、あまり驚きは感じませんでした。どちらかというと状況に応じてころころ態度を変えるある悪役の方が、意外性という点で印象に残りました。

歴代エンジェルのファンなら、過去のシリーズとの繋がりを探すという楽しみも含まれています。

yui